金利上昇下における預金基盤の重要性の高まり

~預金を制するものは金融業界を制す~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載

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サマリー

日本の5大銀行グループ(以下大手銀行)と上場地域銀行73行・グループ(以下上場地域銀行)の2025年3月期の決算が5月15日に出そろった。あくまでも速報ベースではあるが、大手銀行は2年連続で最高益を更新し、地域銀行は9期ぶりに過去最高であった。この決算に死角はないであろうか。足もとでは「金利のある世界」のもとで、顧客基盤(預金)を確保する重要性が非常に高まっている。昨今の他の業界を巻き込んだ銀行業界内の連携・提携の状況をみると、大手銀行でもネット銀行との預金獲得競争があり、一部の大手銀行は携帯キャリア等との業務提携を図っている。地域銀行では、5年前と比較して、PBRと預金規模の相関が高まっている。もっとも、本稿の推計結果からは、①今後15年間に40道府県で個人預貯金額が減少する上に、②今後10年間で個人預貯金額の約20%で相続が発生することで、預貯金の流出リスクが高まるという逆風も予想される。近年は大手地域銀行同士の経営統合も見られているところだが、先行きの人口減少なども見据えつつ、規模の追求はこれから本格的になっていこう。預金に紐づく情報を誰が制するかが、金融業界の勝ち組を決めるのではないか。

大和総研調査季報 2025年夏季号Vol.59

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