サマリー
ドイツ経済は2023年、2024年と2年連続でマイナス成長となり、低迷が続いている。マイナス成長の背景には、ウクライナ問題によるエネルギー危機や中国向け輸出の大幅な減少があったが、これに加えて、ドイツは潜在成長率が低く、外的ショックによってマイナス成長に陥りやすいという構造的な要因も影響している。しかも、先行きについては、人口減少や産業の空洞化によって潜在成長率が一層低下するリスクが高まっている。
こうした中、景気低迷への対応策として実現した債務ブレーキの改正により、拡張財政への転換が可能となったことは、需要・供給の両面からドイツ経済の回復に資する可能性が高い。ただし、ドイツ経済が本格的に低迷から脱却するためには、財政支出だけでは不十分であり、民間部門を活性化させるための方策も必要となる。
CDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)とSPD(社会民主党)による大連立の新政権は、景気低迷からの脱却を優先政策とし、構造問題への対応に取り組む方針である。連立政権が一枚岩になりきれない中で、掲げた政策をどれだけ実行に移せるかが、今後の焦点となる。
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