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20歳になったら国民年金

2019年01月16日

政策調査部 研究員 佐川 あぐり

1月14日は「成人の日」だった。成人になると大人としてできることやすべきことが増える。例えば、父母の同意なく結婚ができるし、飲酒、喫煙ができることなどはすぐに思いつく。一方、成人になったらすべきことの一つに国民年金の加入手続きがある。

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が原則として加入する公的年金制度である。日本の公的年金制度は、老後の暮らしをはじめ、事故などで障害を負ったときや、一家の働き手が亡くなったときに、国民みんなで支え合うという考え方を基本としている。そのため、20歳になった成人国民は制度への参加が義務付けられており、保険料を納める必要がある。

具体的には、市区町村の役所(役場)や社会保険事務所を訪れて、加入の届出を行う。ただし、届出が行われない場合には加入の事務手続きを行う日本年金機構が本人に代わり手続きを実施している(いわゆる「職権適用」)。公的年金制度への参加は国民の義務であると同時に、不測の事態におけるセーフティーネットの役割も果たすものだ。若者の加入漏れを防ぐため、20歳到達者に対しては平成7年度からこの職権適用の仕組みが実施されている。

一部報道(※1)によれば、厚生労働省は、今後は国民年金に加入する際の手続きをなくし、この職権適用の仕組みをデフォルトとする方針であるという。これにより、加入手続きのための届出の必要がなくなり、日本年金機構にとっても加入を呼びかける書面の送付が不要になるなど、業務の効率化も期待されているようだ。

一方で、20歳になったときに職権適用で加入した人の保険料の納付状況は芳しくなく、初年度の納付率は3割弱と、自主的に届け出た人の8割超に比べて低いという(※2)。自ら届出を行った人の中には、職権適用で加入した人に比べて、制度を理解しようと勉強した人や、制度への参加意識を高く持つ人が多いのではないか。もしこれが納付率の差に表れているとすれば、自動加入の仕組みが原則となった場合には、制度への理解が浅い加入者が増え、納付率のさらなる低下が危惧されよう。自動加入には制度の簡素化や手続きの効率化というメリットがあるが、若者に対して制度への参加意識や保険料納付の意識を高めるような取り組みを一層充実させる必要性が同時に生じることになると考えられる。

今年は、5年に一度の公的年金の財政検証が行われる年であり、将来の公的年金制度の見通しが明らかとなる。仮に将来の年金額の水準が引き下げられる姿が示されれば、若者の年金に対するイメージは悪化するかもしれない。だが、制度への理解を深めるためには正確な情報こそが必要であり、政府が検討する制度の持続性を高めるための各種の政策(短時間労働者への厚生年金適用拡大や受給開始時期の柔軟化など)についても、丁寧な説明が求められる。公的年金の現実と政策に関する適切かつ効果的な情報提供が、若者の制度への参加意識や保険料の納付意思の醸成につながることを期待したい。

(※1)日本経済新聞(2018年12月30日)。
(※2)脚注1に同じ。

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