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日経平均オプションの価格から分かること

2015年04月06日

濱田 真也

前回の拙コラム『二つの日経平均先物の価格から分かること』(2015年1月5日掲載)では、シカゴ・マーカンタイル取引所で取引される、取引通貨の異なる二つの日経平均先物の価格から、ドル円レートと日経平均株価の関係に対する市場の見方を捉える方法について書いた。今回は、引き続き「価格から分かること」として、大阪取引所で取引される日経平均オプションの価格から、将来の日経平均株価のボラティリティに対する市場の見方を捉える一つの方法を紹介したい。

ボラティリティとは、資産価格の変動率のばらつきの大きさを表す変数であり、相場の状況を伝える記事などでも目にすることが多い。ヒストリカル・ボラティリティ(HV)はその代表的な指標であるが、これは過去の日次変動率の標準偏差を年率・パーセント単位で表した数値である。例えば、HVが20%であれば、資産価格の変動率が正規分布に従うと仮定した場合、1年間での価格変動率が、約68%の確率で±20%幅に収まるような程度であったというような評価が可能である。

一方で、ボラティリティの将来の見通しを把握したい場合もある。日経平均株価に関しては、この視点で有用な指標の一つとして、「日経平均ボラティリティー・インデックス」(日経平均VI)があり、日本経済新聞社により算出・公表されている(図表1)。この指標は、「将来1か月間において予想される日経平均株価のボラティリティの水準」を年率・パーセント単位で表したもので(※1)、その算出には日経平均オプションという金融商品の価格が用いられる。

オプションとは、「対象資産を、予め定めた将来時点(満期)に、予め定めた価格(権利行使価格)で売買する権利」である。この対象資産を日経平均株価としたものが日経平均オプションであり、大阪取引所においても、様々な満期と権利行使価格のものが取引されている。例えば、「日経平均プットオプション-2015年4月限-権利行使価格20,000円」という商品は、2015年4月10日時点で日経平均株価を20,000円で売る(プット)権利(買う権利は、コールオプション)を表す。

この商品性により、日経平均オプションの価格には、市場での需給バランスを通じて、満期までの日経平均株価の分布に対する市場の予想が反映される。そして、日経平均VIは、1か月(30日)後に満期を迎える(※2)全ての権利行使価格の日経平均オプションから、それぞれの価格に反映される予想分布を用いることにより、将来1か月間のボラティリティの予想水準を計算している。

さて、この日経平均VIの算出式は、1か月後だけでなく、様々な満期の日経平均オプションに対しても容易に適用できる。これにより、各満期までの日経平均株価のボラティリティの予想水準が計算できる。例として、2015年3月13日時点の大阪取引所の日経平均オプションの価格を用いて計算したものを、図表2に示した。

図表2を見れば、同時点から2015年4月限の満期までの約1か月間におけるボラティリティの予想水準は、年率で20%を少し超える程度であり(※3)、図表1と合わせれば、将来1か月間の予想水準が、昨年末あたりから下がってきていることが分かる。一方で、2015年4月限以降、目先2か月間(5月限)、3か月間(6月限)と、将来期間が長くなるほど予想水準が上がっており、市場におけるボラティリティの先高観が把握できる。このような計算により、図表1で示した日経平均VIの推移に奥行きの軸を加えることで、ボラティリティの予想水準の推移を立体的に捉えることが可能となる。

日経平均VIの推移(2013年1月~)
各将来期間までの日経平均株価のボラティリティの市場予想水準(年率)(2015年3月13日時点)

(※1)より正確には、日経平均株価のバリアンス(ボラティリティの2乗)の将来1か月間における予想水準をボラティリティの単位で表したものである。算出の詳細は、日本経済新聞社 (2014)「『日経平均ボラティリティー・インデックス』リアルタイム算出要領」を参照。
(※2)実際は、仮想的に「1か月後」とするために、原則として、期近限月と翌限月の二つが用いられる。
(※3)この方法によるボラティリティの予想水準には、投資家の将来のボラティリティの変動に対するリスク・プレミアムが含まれる。このため、この水準を先述のHVとそのまま比較することにはあまり意味がない、という点には注意する必要がある。

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