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夏休み!グアム最前線

2014年07月30日

7月22日に気象庁から関東甲信の梅雨明けの速報が発表され(※1)、いよいよ夏本番となった。夏と言えば海だが、海外のビーチリゾートの中でもグアムは、日本に近いため時差が少なく安価な旅行先として、日本人旅行者が多く訪れることで知られている。

グアムの主要産業である観光業の売上は2012年で約14億ドルであり、観光関連の雇用約2万人は、グアム内の全雇用の約31%にあたるという(※2)。来島者は圧倒的に日本人が多く、2012年の航空機による来島者約124万人のうち、日本人が約71%を占めている(図表)。

図表 グアムへの来島者数(2012年トップ3と、米国本土、中国、香港、ロシア、欧州)

来島者の内訳を見ると、日本人が大きな比率を占めているのは90年代から変わっていないが、1999年に韓国からの来島者が米国本土からの来島者を上回っており、2012年は年間約16万人と、この15年で8倍となっている。また近年では中国からの来島者が増えており、2012年には年間1万人に迫っている。1998年に日本からの来島者が約86%であった状況から、少しずつだが多様化が進んでいるようである。

このような状況を受けて、グアム政府観光局は2014年2月に“Guam Tourism 2020 Strategic Plan(※3)”を策定し、観光業のさらなる強化を図っている。その計画では“Vision 2020”として「世界中から最上位として選ばれるリゾート地」となることを掲げており、数値目標として2020年に年間200万人の来島者を実現することなどが挙げられている。具体的に8つの施策を打ち出しており、日本人来島者数を全体の55~60%に維持する一方で新市場を開拓すること、ホテルの高級クラスの部屋に注力して投資を促すこと、MICE(※4)客にフォーカスすること、などが特徴である。

来島者の新市場として注目されているのは、中国とロシアだ。計画では、中国がVWP(Visa Waiver Program、ビザ免除プログラム)の対象となった場合、2020年には35万人の来島者になると見込んでいる。ロシアは2012年1月からVWPの対象となっており(※5)、その年のうちに欧州全体の来島者数を上回っている。特に中国人来島者については、50万人や100万人もありうることも想定し、タモン地区に代わる新しい旅行者向けハブ拠点について検討を始める可能性についても、計画で言及している。

また、計画では「近くて安い旅行先」というイメージからの脱却を図っており、具体的には、2020年までに“upper scale”を560部屋、“luxury upper scale”を1,000部屋増やし、それより低いクラスの部屋は現状を維持するという数値目標を挙げている。これは来島者の滞在費用を押し上げるだけでなく、開拓を目指す新市場のニーズを考慮して、1週間以上の中長期間にわたって滞在するために広めの部屋を望む旅行者を狙った施策でもあろう。

こうした取組みによって、グアムは多くの国から旅行先の選択肢の一つとして加わる可能性がある。日本においても、2020年の訪日外国人旅行者数2千万人を目指した行動計画(※6)を取りまとめたところであり、具体的な施策では、グアムの取組みに参考とするところがあるかもしれない。

(※1) 気象庁「平成26年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)」(2014年7月28日閲覧)
(※2)Guam Visitors Bureau, 2012 Annual Report
(※3)Guam Visitors Bureau, Guam Tourism 2020 Strategic Plan
(※4) Meetings(会議)、Incentives(研修旅行)、Conferences(総会・学会)、Exhibitions(展示会)の頭文字をとったもの。多くの集客が見込まれるビジネスイベント等の総称として“MICE”が使われており、構成する単語が異なる場合もあるが、意味は同様と推察される。観光庁「MICEの開催・誘致の推進」も参照。
(※5)米国税関国境取締局「ロシア国籍旅行者のグアムへの臨時入国許可」(2011年12月19日)
(※6) 観光立国推進閣僚会議第4回配布資料「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014」(平成26年6月17日)

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