金銭給付か、実物給付か
2010年02月01日
こども手当のような金銭給付はバラマキとして評判が悪い。私としては「バラマキは悪くない」と書いているぐらいなので、なぜ評判が悪いのかが気になる。評判が悪いのは、こども手当を配っても親が子どものために使わないかもしれない、それよりも保育所などの実物給付に回すべきだという議論によるようだ。こども手当をもらっても、親が飲んだり、パチンコに使ったりしてしまうかもしれないのはその通りだ。しかし、多くの親は子どものために使うだろう。少数の例外を言いだしたらきりがない。例外的に起こる子どもの虐待、育児放棄などには、別途、児童施設の拡充などの対策があてられるべきだ。
金銭給付と保育所の拡充とは何が違うのだろうか。まず、こども手当の金銭給付は、保育所のサービスを購入するには足りない。これは義務教育とは異なるところだ。義務教育の場合、すべての子どもに教育サービスを無償で実物給付している(これを金銭給付して、親に義務教育サービスを購入することを義務付けるという考えもあるが〈教育切符制である〉、これについては論じる余裕がない)。ところが、こども手当の金銭給付は、保育所サービスを購入するには足りないので、金銭給付を減らして保育所にお金を回せという議論は、必然的に、特定の人だけにお金を回せということになる。
こども手当を止めて保育所への補助金を増やすと、誰にお金が落ちるだろうか。まず、当然に、保育所サービス産業にお金が落ちる。また、保育料は実際にかかるコストの7分の1にすぎないので(公設保育所での保育コストは公費だけで月19万円だが、保育料は3万円である〈厚生白書 平成10年版」〉)、保育所を利用する親に対する補助金となる。どんな親が保育所サービスを利用するだろうか。より所得の高い母親が、より保育所サービスを使いたいと考え、そうするのではないか。すると、保育所の充実は高い所得を得ている人への補助金となる。
自民党政権が国民に飽きられたのは、その政権が国民一般ではなく、建設業者、農協、事業者団体など、特定の人々の方にしか向いていないと思われたからではないか。対象を限定する実物給付は、特定の人々を向いている点で、自民党政権と同じなってしまうのではないだろうか。
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