役員報酬制度改革の潮流
2007年06月15日
| 近年、年功的色彩が強い役員退職慰労金を廃止して在職中の業績に連動する役員報酬体系を構築する上場企業が増えている。 役員退職慰労金を廃止するトレンドとその背景 平成18年6月現在、上場企業全体の3割を超える企業が役員退職慰労金を廃止している。その背景にはコーポレートガバナンスの強化が大きく影響している。「物言わぬ株主」が「物言う株主」へと変化し、在任年数に比例して年功的・安定的に支給される退職慰労金に対して「NO」と言うようになったからである。加えて、従業員の成果主義的人事制度との整合性を取る動きが退職慰労金廃止に拍車を掛けている。その結果、「本来役員報酬は職務執行の対価として業績に連動した型で単年度ごとに決定して支給することが望ましい」という考え方が現在の潮流となっている。 役員業績連動報酬:パフォーマンスを測る「ものさし」は何か? 退職慰労金の廃止と同時に業績と連動した役員報酬体系の改革に取り組む上場企業も多い。経営責任の明確化とともに業績と連動した成果報酬体系が株主から求められているのである。日本では長い間、役員賞与は利益処分として税法上損金不算入として扱われていたが、会社法施行により「役員給与の一部」として取り扱うことになった。法人税法(第34条)も改正され、一定条件を満たせば「利益連動給与」として損金処理することが認められるようになった。このことも業績連動型の報酬制度導入を後押ししている。 役員の業績連動型報酬を導入する際、問題となるのが役員の業績を評価する指標である。指標は、1)利益指標(営業利益、経常利益、当期純利益等)、2)資本効率指標(ROE、ROA等)、3)株主指標(株価、EPS、配当性向等)の3つに大別できる。業績連動型報酬の算定式は経営の透明性を高めるためにも社内外に開示することが望ましい。算定式は経営者が何に軸足を置いてマネジメントしているかを市場にメッセージとして示すことになる。下表に業績連動型報酬の指標例と市場・投資家から見た場合の一般的解釈を示す。 企業にとってどの指標を用いれば良いかという唯一解はない。企業は自社のスタンスを市場に示し株主から理解を得ることが必要である。コーポレートガバナンス強化の一環として経営責任の明確化とともに、業績と強く連動する役員報酬制度導入に対する株主の声はますます高まるであろう。
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マネジメントコンサルティング部
主任コンサルタント 芦田 栄一郎
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