特定商取引法と海外商品先物オプション取引

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2007年06月04日

特定商取引法とは

特定商取引法とは、訪問販売等につき事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルールを定めた法律である(※1)。正式の名称は、「特定商取引に関する法律」である。

特定商取引法の規制対象となる取引類型は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売などの6つの取引類型である。そのうえで、各取引類型の特性に応じて、事業者に対して、消費者への適正な情報提供等の観点から、不当な勧誘行為の禁止や広告規制などを規定している。この規制に関する違反行為は、改善指示、業務停止の行政処分または罰則の対象となっている。また、各取引類型の特性に応じて、消費者と事業者の間のトラブルを防止し、その救済を容易にする等の機能を強化するため、消費者によるクーリング・オフ(契約の解除)、取り消し等を認めるとともに、事業者による法外な損害賠償請求を制限する等のルールを規定している。

なお、クーリング・オフとは、申し込みまたは契約後に法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間、消費者が冷静に再考して、無条件で解約することである。ここで言う一定期間とは、例えば、訪問販売・電話勧誘販売の場合は8日間である。なお、通信販売には、クーリング・オフに関する規定がない。

海外商品先物オプション取引にかかわる改正

2007年5月1日、特定商取引法に関連する政令を改正するという提案が、経済産業省からパブリックコメントの募集という形で行われた。「特定商取引に関する法律施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集について(※2)」がそれである。意見募集は5月31日までとなっており、それまでに集まった意見をもとに改正が行われる予定である。

特定商取引法の訪問販売、通信販売、電話勧誘販売に関する規定は、政令(「特定商取引に関する法律施行令」)で指定された商品・権利・役務についてのみを規制の対象としている。そこで上記提案では、この政令を改正して、海外商品先物オプション取引や「ロコ・ロンドン取引」と称する金(貴金属)の取引などを規制対象に追加することにしている。例えば、海外商品先物オプション取引は、そもそも規制する行政上の法規が存在せず、その点がトラブルの増加とともに問題視されていた。また上記提案では、ほかにも、占いを行った後に消費者の不安をあおり、助言、指導や、いわゆる祈祷を含む精神的な援助の高額な契約を締結することを規制対象に追加することなども提案されている。

(※1)経済産業省のウェブサイトおよび消費生活安全ガイドのウェブサイト参照。
(※2)経済産業省のウェブサイト参照。

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