株主提案

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2007年05月09日

株式会社の場合、会社法で定められている株主の権利の行使として、株主から株主総会の議案が提案されることがある。例えば、2006年には、錢高組(1811)、サンテック(1960)、スガイ化学工業(4120)、マナック(4364)、フジマック(5965)、井上金属工業(6246)、ソニー(6758)、名村造船所(7014)、西日本旅客鉄道(9021)トレーディア(9365)、東京電力(9501)、中部電力(9502)、関西電力(9503)、中国電力(9504)、東北電力(9506)、九州電力(9508)などで提案がなされている。

また今年に入ってからも、サッポロホールディングス(2501)、中部電力(9502)、アデランス(8170)、小野薬品(4528)、東京放送(9401)、モリテックス(7714)、ペンタックス(7750)などでも株主から議案の提案がなされている。

株主提案権

これらの株主の提案は、会社法の株主提案権により行われている(会社法303~305条)。そこで、この株主提案権を簡単に見ていく。ここでは、会社法上の「取締役会設置会社(※1)」かつ「公開会社(※2)である会社」である、上場会社を念頭に説明する。

一般によく行使される株主提案権は、「議案を提案して、株主総会の招集通知に記載させる」というものである。この株主提案権を行使する場合の要件は、次のとおりである。

(1)株主総会の8週間前までに行使〔定款で短縮可能〕
(2)「総株主の議決権の1%以上」又は「300個以上の議決権」〔定款で引下げ可能〕
(3)6ヶ月保有〔定款で短縮可能〕
(4)提案する議案に関連する議題につき議決権を有する
(5)その株主総会で議題とされている事項に関するものに限定される

また、動議というものがある。これは、株主総会の場で議案を提案するという形で、株主提案権を行使するものである。今年この動議の提出が予定されているとのプレスリリース[適時開示書類]を公表した会社として、セシール(9937)やジャレコ・ホールディングス(7954)が存在する。なお、この動議の要件は以下のとおりである(上記の招集通知に記載させるという株主提案権と比べると、上記の(1)~(3)の要件に相当するものが動議の場合にはない。)。

(a)提案する議案に関連する議題につき議決権を有する
(b)その株主総会で議題とされている事項に関するものに限定される

(※1)会社法上の「取締役会設置会社」とは、取締役会を置く株式会社、又は会社法の規定により取締役会を置かなければならない株式会社のことである(会社法2条7号)。

(※2)会社法上の「公開会社」とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社のことである(会社法2条5号)。つまり、譲渡制限のない株式が存在する株式会社のことである。

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