新株予約権のいろいろな使われ方
2006年10月25日
新株予約権とは
現在、会社法の中に新株予約権という名の制度が定められている。新株予約権とは、会社に対して株式の交付を要求することができる権利のことである(※1)。この制度は、2002年4月に創設された制度である(※2)。会社法は、大枠を定めるだけで、細かい商品性を詳細に記載しているわけではない。まして、その利用方法については、記載していない。そこで、いろいろな商品が考案され、いろいろな使われ方がされている。
いろいろな使われ方
例えば、どのような使われ方をしているかというと、次のようなものが見受けられる。
第一に、資金調達を主目的として発行されるが、種々の工夫がなされる場合がある。第三者割り当てにより新株予約権を発行するに際して、権利行使により株価に悪影響が出ないように、権利行使については会社の同意を必要とするなどの特約を付す事例が存在する〔例:スカイマークエアラインズ[現スカイマーク](06年9月8日公表)、ラ・パルレ(06年8月21日公表)〕。また、金融機関の実施する融資の中には、借り手の会社に新株予約権の発行を条件とするものが存在する〔例:日本政策投資銀行〕。
第二に、ストックオプションとして使われる事例である。
第三に、買収防衛策として、敵対的買収者が現れた際に新株予約権を他の株主に交付するなどして、敵対的買収者の議決権割合を低下させることなどが考案され、利用されている。
第四に、株主還元を主目的に、一定の時期の株主に、保有する株数に応じて新株予約権を割り当てることがある〔例:アルファ・トレンド[現アルファ・トレンド・ホールディングス](06月2月24日公表)〕。特に最近話題になったものとして、同和鉱業(現DOWAホールディングス)が06年8月30日に公表した新株予約権がある(※3)。これは、長期保有株主に対する株主還元策として新株予約権を使う事例であり、少々特殊なものである。この同和鉱業の新株予約権は、06年9月末の株主名簿等に記載された保有株式数に応じて株主に割り当てられる。しかし、行使期間が来れば、割り当てられた新株予約権をすべて行使できるというわけではない。07年から09年までの3月末と9月末の各段階の株主名簿等で、06年9月末の株式数を下回る株数しか保有していないとなれば、各段階で最低の保有株数に対応する新株予約権しか行使できないとされている。
このように実務の工夫により、新株予約権の使われ方は拡大している。
(※1)会社法2条21号
(※2)02年4月1日から施行された法律によって、新株予約権は創設された。
(※3)同和鉱業の06年8月30日付プレスリリース(適時開示書類)「長期保有株主に対する株主還元策を実施~3年間継続保有を行使条件とする新株予約権を発行」参照。
現在、会社法の中に新株予約権という名の制度が定められている。新株予約権とは、会社に対して株式の交付を要求することができる権利のことである(※1)。この制度は、2002年4月に創設された制度である(※2)。会社法は、大枠を定めるだけで、細かい商品性を詳細に記載しているわけではない。まして、その利用方法については、記載していない。そこで、いろいろな商品が考案され、いろいろな使われ方がされている。
いろいろな使われ方
例えば、どのような使われ方をしているかというと、次のようなものが見受けられる。
第一に、資金調達を主目的として発行されるが、種々の工夫がなされる場合がある。第三者割り当てにより新株予約権を発行するに際して、権利行使により株価に悪影響が出ないように、権利行使については会社の同意を必要とするなどの特約を付す事例が存在する〔例:スカイマークエアラインズ[現スカイマーク](06年9月8日公表)、ラ・パルレ(06年8月21日公表)〕。また、金融機関の実施する融資の中には、借り手の会社に新株予約権の発行を条件とするものが存在する〔例:日本政策投資銀行〕。
第二に、ストックオプションとして使われる事例である。
第三に、買収防衛策として、敵対的買収者が現れた際に新株予約権を他の株主に交付するなどして、敵対的買収者の議決権割合を低下させることなどが考案され、利用されている。
第四に、株主還元を主目的に、一定の時期の株主に、保有する株数に応じて新株予約権を割り当てることがある〔例:アルファ・トレンド[現アルファ・トレンド・ホールディングス](06月2月24日公表)〕。特に最近話題になったものとして、同和鉱業(現DOWAホールディングス)が06年8月30日に公表した新株予約権がある(※3)。これは、長期保有株主に対する株主還元策として新株予約権を使う事例であり、少々特殊なものである。この同和鉱業の新株予約権は、06年9月末の株主名簿等に記載された保有株式数に応じて株主に割り当てられる。しかし、行使期間が来れば、割り当てられた新株予約権をすべて行使できるというわけではない。07年から09年までの3月末と9月末の各段階の株主名簿等で、06年9月末の株式数を下回る株数しか保有していないとなれば、各段階で最低の保有株数に対応する新株予約権しか行使できないとされている。
このように実務の工夫により、新株予約権の使われ方は拡大している。
(※1)会社法2条21号
(※2)02年4月1日から施行された法律によって、新株予約権は創設された。
(※3)同和鉱業の06年8月30日付プレスリリース(適時開示書類)「長期保有株主に対する株主還元策を実施~3年間継続保有を行使条件とする新株予約権を発行」参照。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
- 執筆者紹介
-
堀内 勇世
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日