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開発工場からソリューションへ。変り始めた中国大手ソフト会社

2006年06月30日

小原 誠

中国ソフトウェア業界の成長が著しい。CSIA(※1)によれば、中国ソフトウェア業界の平均売上成長率は年30%に達しており、これは中国のGDP成長率10%をはるかに上回る成長である。中国ソフトウェア業界の就業者数は約62万人であり、既に日本の同就業者数約57万人を超えている。

この成長を担うのが、日本からのオフショア開発の伸長である。その成長率は年50%を超えている。中国大手ソフト会社には、日本からのオフショア開発を主軸に成長した企業も多い。これらの企業は、いずれも高成長と高利益を誇っている。例えば大和総研のパートナーである中訊グループでは、2005年度の売上高37億円(前年比伸率47%)、純利益8.6億円(前年比伸率15%)であり。利益率は23%に達している。

順風万帆に見える中国大手ソフト会社であるが、オフショア開発の依存度が高すぎるのは今後リスクになる。オフショア開発を例えるならば輸出用開発工場であるが、このビジネスモデルだけで成長を維持するのは容易ではない。日本でも製造工程を担当する人材派遣型のソフトウェア企業が急成長した時期があったが、プライムコントラクターであるSIベンダの発注量に依存するリスクを免れなかった。中国大手ソフト会社が、安定して持続的に成長するには、オフショア開発以外に、自立した事業基盤を充実することが必要である。

そこで、次の発展段階として中国大手ソフト会社が模索するのは、開発工場からソリューションビジネスへの展開である。特に、日系中国進出企業向けのソリューションビジネスは期待が持てる。多くの日系企業が中国で事業を展開しているが、現状では事業を支援するITの整備は充分とは言えない。今後、日系中国進出企業では、日本とのシステム連係や日本と同レベルのセキュリィ対策、中国地域での業務システム開発などの高度なSIソリューションが要求されてくる。

中国大手ソフト会社にとっても、ソリューションビジネスへ展開するメリットは大きい。日本からのオフショア開発で培った業務知識や日系企業とのビジネスノウハウは、日系中国進出企業向けのソリューションビジネスで充分活用できる。また、開発の上流工程やSIソリューションビジネスを担当することで、優秀な社員のモチベーションも維持できる。

前回のコラムで報告したように、大和総研と中訊グループは、DIR系統技術(北京)有限公司を設立した。日系中国進出企業のすべてのITニーズに対応するサービスメニューを用意し、ソリューションビジネスの展開を図る計画である。

(※1)CSIA::China Software IndustryAssociation

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