上場会社は定款の変更などに際して十分な説明を!

RSS

2006年03月22日

新しい「会社法」が5月1日に施行される予定である(※1)。このため上場会社は、会社法施行に向けて、準備に追われているところであろう。その際、以下のような点をも踏まえて、株主(投資家)に対して、定款の変更などについて十分な説明を行って欲しいところである。

まず、会社法で認められた新たな選択肢を選択する場合の説明である。会社法は、会社に今まで以上に選択の自由を与えている。たとえば、配当の権限を株主総会から取締役会に委任することも可能としている。会社がこの選択をするためには、定款を変更しなければならない。つまり、法が与える選択の自由を会社が享受するには、株主総会の特別決議を経て定款を変更するという形で、株主の承認をもらわなければならない。その際、会社は、十分な説明をするために工夫を凝らすことも必要であろう。前記の例で言えば、配当の権限を株主総会から取締役会に委任する場合には、配当政策をも説明するなどの工夫が必要ではないだろうか。会社にあっては、十分な説明をするために、検討を行ってほしいところである。

次に、今年の株主総会の手続などが複雑化することに関連した説明である。会社法が施行されるに際して、実務がうまく回るように経過措置が定められる。例えば、決算期が施行日の5月1日よりも前であれば、今までの「営業報告書」を招集する際に株主に送付することになっている。逆に決算期が5月1日以降であれば、会社法の「事業報告」を株主に送付することになっている。「営業報告書」と「事業報告」では、記載内容に違いがあるので、送る際に、会社法によるものか否かについて、注意書きや株主総会での説明があってもよいのではなかろうか。また、事業報告による場合にも、注目を集めた内部統制の開示などは、一定の場合に1年先送りできるとされている。経過措置により記載を先送りするような場合、経過措置により記載していないことなどを明らかにしてもらいたい。ちょっとしたところであるが、上場会社には、このような手間もかけてもらいたいと考える。

(※1)法務省の公表物「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案の概要」(PDF)を見る限り、ほぼ決まりといってよいだろう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。