新「会社法」の成立、公布

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2005年08月08日

今年6月29日に「会社法」が成立し、7月26日に公布された。会社法の基本的な施行日は、正式には、公布後1年6ヶ月以内の政令で定める日とされているが、政令はまだ出ていない。ただし、法務省立案担当官による書籍の中では、「平成18年5月」を目途としている旨が記述されている。なお、新聞紙上等をにぎわした三角合併などの施行日は、会社法の基本的な施行日の1年後とされている。

会社法は、現在、株式会社などの会社に関する規制が商法などのいくつかの法律に散らばっているのでそれをまとめるとともに、現在の社会経済情勢にあうように改正を施したものである。例えば、会社経営の機動性・柔軟性の向上を図るため、次のような改正が行われている。


(1)委員会等設置会社以外の株式会社であっても一定の要件を充たすもの(取締役会のほか監査役会及び会計監査人を設置し、かつ、取締役の任期を1年とするもの)については、定款の定めを置くことにより、取締役会の決議をもって配当などの剰余金の分配を決定することができる。
(2)簡易組織再編行為(存続会社等における株主総会の承認決議を要しない組織再編行為)に係る要件を緩和。

これを、取締役等の経営陣の権限という面から見ると、自己の判断で選択できる範囲が広がっているので、経営陣の権限が拡大したということができる。しかしながら、取締役等の経営陣の責任という面から見ると、選択肢が増える一方で選択していくことが必要となったといえ、経営陣の責任が増大したともいえよう。それゆえ、取締役等の経営陣においては、会社法で選択肢が増えたと喜んでばかりいられないのである。取締役等の経営陣においては、会社法の施行に当たっては、一層、気を引き締めなければならないだろう。

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