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日系企業の中国A株市場直接上場

2004年05月17日

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

5月11日、日本の自動車部品メーカー、睦特殊金属工業の中国合弁会社「寧波東睦新材料」が上海A株市場への上場を果たした。新株売出価格10元に対して、初値は14.8元。初日終値は14.54元と、売出価格比では45.4%高で初日の取引を終えた。さらに、売出の際の応募倍率が1918.6倍に達したと書けば、凄まじいばかりの人気であったと思われるかもしれない。

しかし、これは中国では珍しいことではない。新株売出の際のPERは当局の意向を受けた暗黙の了解により、13倍~16倍に設定されることが多い(寧波東睦新材料は13.89倍)。一方で、現在の上海A株市場のPERは30倍程度である。よほどのことがない限り、上場後の株価は市場平均、あるいは業種平均に鞘寄せされるとの期待の下、売出時に株を取得しようとの強いインセンティブが働くのである。投資家にしてみれば、新株売出の抽選は、景品付きのくじ引きのような感覚なのかもしれない。中国の国内株式市場の問題点のひとつが映し出されているといえるだろう。

話は変わるが、私は外資系企業の中国直接上場に大きな期待を抱いている。外資系企業の上場には、1)中国進出企業(特に中小企業)にとって、資金調達と中国国内での知名度向上が同時に可能となる、2)日本の投資家にしても、なじみが深い投資対象が増える、というメリットがある。さらに、外資系企業は、国家株という支配株主による様々な制約・干渉がない上、グローバルスタンダードを意識した情報開示や株主重視の経営が期待されるなどの魅力を持つこともある。

外資系企業をはじめ上場企業としての意識の高い企業が数多く市場に新規流入する一方で、業績の改善が見られない不振企業が淘汰されれば、株価下落ではなく、業績拡大による市場全体の割高感の解消にも寄与しよう。

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経済調査部
主席研究員 齋藤 尚登