OECD報告書から読み解く 老後に向けた金融経済教育

我が国の金融経済教育でも属性別のアプローチが必要

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サマリー

◆経済協力開発機構(OECD)は、2022年7月に、老後に向けたファイナンシャルプランニングや金融経済教育についての報告書を公表した。同報告書から得られる我が国への金融経済教育への示唆として、以下の3点が挙げられる。

◆同報告書では、女性や自営業者など属性別の金融スキルについて言及している。これに対して、今後の我が国の金融経済教育を推進する中核的な常設組織となる「金融経済教育推進機構(仮称)」は、ライフステージ別に金融経済教育を行う「金融リテラシー・マップ」を踏まえるものと思われる。しかし、この金融リテラシー・マップは属性別のアプローチは取っていない。今後、我が国で金融経済教育を推進するに当たって、属性別のアプローチも必要と考えられる。

◆そのほか、同報告書では、若いうちからの老後に向けた資産形成を勧めており、我が国でも早期からの個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金(企業型DC)などの積極的な活用が望まれる。

◆また、同報告書では、長期の資産形成において役立つ事例として、アプリでの年金管理を紹介している。我が国でも、今年度中にも公的年金シミュレーターが民間の家計簿アプリや金融資産管理アプリなどに組み込まれる見通しであり、今後の動きが注目されよう。

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