2023年08月29日
サマリー
◆英国では、助言の提供範囲を株式型ISAに限定することを条件に、規制対応コストを軽減するアドバイス制度案の導入が議論されていた。岸田政権による「資産所得倍増プラン」で提言された顧客の立場に立ったアドバイザー(認定アドバイザー)に類似する制度案として注目されていた。
◆しかし、英国の新たなアドバイス制度案には、①商業的な採算が見込めない、②助言範囲の狭さから利用しづらい、といった反対の声が根強かった。そして、業界からの支持が得られなかったとして、2023年8月に同制度案は導入取りやめとなった。
◆日本での認定アドバイザー制度の導入に当たっては、英国の事例も参考にしながら、商業的な採算性や担い手の確保に配慮し、①つみたてNISA・iDeCoに加えて、例えば企業型DCも対象にする、②適切な弊害防止措置を講じた上で、例えばグループ傘下の投資助言子会社の社員といった金融機関所属の者も同アドバイザーの認定対象に加える、など制度設計を工夫することが必要と考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
新たなアドバイザー認定制度と金融リテラシー向上を巡る議論
投資助言業の登録要件緩和と金融経済教育の推進機構の新設へ
2022年12月20日
-
英国でのアドバイス・ギャップ解消に向けた投資アドバイス区分新設の動き
日本で新設が予定される認定アドバイザーへの示唆
2023年01月31日
-
金融リテラシーに係る制度の今後の見通し
「基本方針」やアドバイザー制度の具体化などが次の焦点か
2023年05月08日
同じカテゴリの最新レポート
-
フィンフルエンサーの規制と取締りに関する海外動向
国境を越えた規制協力、フィンフルエンサー向け教育や認証制度の必要性
2025年11月19日
-
政策保有株式の縮減状況~2024年版~
保有銘柄数・保有額は前年比で2割程度の縮減
2025年11月11日
-
政策保有株式の開示に関する課題と展望
TOPIX500採用銘柄の開示状況から得られる示唆
2025年10月29日

