「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?

Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有

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2025年06月13日

  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2025年5月22日、第二次トランプ政権の最重要政策である、減税及び予算調整を定める‘One Big Beautiful Bill Act’(OBBBA)が、下院を通過した。

◆このOBBBAの下院案に、ひっそりと仕掛けられた「時限爆弾」が、内国歳入法における‘Section 899’の新設である。

◆‘Section 899’は、「差別的な外国」に帰属する企業等の米国内源泉収入に適用される税率を、最大で20%pt引き上げる条項である。

◆背景には、米国の大手テック企業をターゲットにした、経済協力開発機構(OECD)主導の「グローバル・ミニマム課税」への「報復」があると考えられる。

◆日本の場合、軽課税所得ルール(UTPR)を令和7年度税制改正で導入していることから、「差別的な外国」と認定されることが想定される。

◆仮に‘Section 899’が下院案から大きな変更なく可決された場合、日本政府は、関税のケースと同様、日本企業や日本の投資家への影響度調査が不可欠になろう。

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