サマリー
- 実質GDP成長率見通し:25年度+1.3%、26年度+1.1%:本予測のメインシナリオにおける実質GDP成長率は24年度+0.7%、25年度+1.3%、26年度+1.1%(暦年ベースでは25年+1.5%、26年+1.1%)と見込む。春闘での高水準の賃上げ継続などを背景に、実質賃金は上昇基調が明確になり、26年度にかけて前年比+1%程度で推移するだろう。賃上げと価格転嫁の循環などにより、CPI上昇率の基調は同+2%程度で安定する見込みだ。家計の所得環境の改善や政府の経済対策、インバウンド需要の増加、高水準の家計貯蓄などが日本経済を下支えしたり、押し上げたりするとみている。ただし、米トランプ新政権の政策(「トランプ2.0」)や大幅な円高など外部環境の変化には警戒が必要だ。
- 日銀の金融政策:日銀は経済・物価・金融情勢を注視しつつ、25年7-9月期(月次ベースでは7月)に短期金利を0.75%に引き上げ、その後は半年に一度程度のペースで0.25%ptの追加利上げを行うと想定している。予測期間の終盤には短期金利は1.50%に達する見込みだ。実質金利は予測期間を通してマイナス圏で推移し、当面は緩和的な金融環境が維持されるだろう。
- 論点①:日本経済の供給力底上げに向けて:日本経済の供給力の底上げには、労働供給制約の緩和と労働生産性の向上が必要だ。しかし、政策対応で就業者数を増やしても国内労働供給は2040年度にかけて年率▲0.4~▲0.1%のペースで減少が続くと試算される。また、外国人労働者を年間27万人受け入れれば労働投入量の減少を同▲0.1%に抑えることができるが、それは現状の2倍近い受け入れとなり、社会経済への影響もそれだけ大きくなる。他方、人的資本投資の拡大により労働の質が向上すれば年率0.2~0.3%pt程度、実質設備投資が5~7割程度増加すれば同0.1~0.2%pt程度、労働生産性を引き上げ得ると試算される。
- 論点②:「トランプ2.0」主要政策がグローバル経済に与える影響:トランプ新政権の主な政策課題である、①関税引き上げ、②移民規制強化、③政府効率化、④AI規制緩和と投資拡大、の4つで「穏健」「リスク」「テールリスク」の3つのシナリオを想定し、グローバル経済への影響を試算した。穏健シナリオでは経済活動への影響は限定的だが、テールリスクシナリオが発現すると、米国の実質GDP成長率への影響は25~29年で年率▲1.2%ptと大きい。同シナリオにおける日本の実質GDP成長率への影響は同▲0.9%ptと、ユーロ圏への影響(同▲0.6%pt)を上回る。ただし、米国が特定の国・地域からの輸入に高関税を課す場合は、日本が代替需要を取り込むことで影響が緩和される可能性もある。そのほか、移民規制強化により米国の建設業や宿泊・飲食業などでは賃金高と供給力不足が生じる恐れがあること、エネルギー政策で原油価格が中期的に低下し、耐久財製造業を中心に収益環境が改善する可能性があることも指摘される。
【主な前提条件】
(1)名目公共投資:24年度+5.1%、25年度+1.3%、26年度+1.5%
(2)為替レート:24年度152.7円/㌦、25年度151.5円/㌦、26年度151.5円/㌦
(3)原油価格(WTI):24年度74.8ドル/バレル、25年度72.3ドル/バレル、26年度72.3ドル/バレル
(4)米国実質GDP成長率(暦年):24年+2.8%、25年+2.3%、26年+2.1%
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