資金循環統計(2017年1-3月期)

対外証券投資が一部の主体で売り越しに

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サマリー

◆日本銀行(以下、日銀)から2017年1-3月期の資金循環統計(速報)が公表された。前期(2016年10-12月期)までは株高・円安を背景に、全般に金融資産残高が増加した主体が多かったが、今期は金利上昇や円高進行等の影響により、多くの主体で減少に転じた。


◆家計の金融資産残高は、定期性預金からの資金純流出を主因に減少した。一方で、流動性預金や株式等、投資信託、国債等への資金純流入が見られた。


◆預金取扱機関(銀行等)は、これまでと同様に国債の売却を進めているが、その売却代金が日銀当座預金として積み上がる状況が続いている。また、対外証券投資は、海外の金利上昇を背景に売り越しとなったとみられる。


◆生命保険の金融資産残高は、金利上昇による国内債券の時価下落、円高進行による対外証券投資の評価減を主な要因に減少した。円高による評価減となったものの対外証券投資は買い越しであり、引き続き対外証券投資に積極的な様子が見られる。


◆年金の金融資産残高は増加した。公的年金の残高は増加したが、小幅ながらリスク資産からの資金流出が見られ、ポートフォリオの再構築は一服した可能性もある。企業年金の残高は減少し、対外証券投資はフローがプラスだったが、円高により残高は減少した。


◆事業法人(民間非金融法人企業)の金融資産残高は大きく増加した。主因は現金・預金の増加で、現金・預金残高は過去最高となった。企業の海外展開は引き続き活発であり、対外直接投資の残高も増えている。資金調達側を見ると、借入や事業債による資金調達を増やしており、長期化する低金利を背景に、資金調達が積極的に行われたようだ。


◆海外部門の金融資産残高は、貸出残高や株式等の減少により大幅に減少した。特に、貸出においては、現先・債券貸借取引の資金流出超が主な要因となっている。国債へは資金純流入が見られた。


【「なるほど金融」の「おカネはどこから来てどこに行くのか 資金循環統計の読み方」もご参照ください。】

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