サマリー
◆2016年末から株式投資信託(ETF除く)の保有行動に変化が見られる。株式投信の設定額・解約額は2016年1月から10月までの期間に比べて、11月以降は高水準で推移している。一方で、過去の株価上昇局面で見られていた株式投信への資金純流入額の膨らみは2016年末からの株価上昇局面では見られなかった。
◆2016年末からは「国内株式型」や「海外REIT型」からの資金純流出が顕著に見られる。また、2012年前後には残高ベースで7割を超えていた株式投信に占める毎月分配型投信の割合は、足下では5割近くまで低下しており、フローで見ても直近3カ月は資金純流出となっている(6カ月移動平均で見た場合)。「国際株式型」などがそれらの受け皿になっていると見える。また、「株式債券型」への資金純流入や株式投信に占める構成比の高まりも確認できる。
◆「株式債券型」普及の動きは、長期投資の普及が進んでいると解釈できるかもしれない。長期投資の動きをさらに後押しすると思われる、2018年1月から開始される「つみたてNISA」の認知度がどの程度高まるかが今後の注目点の1つだろう。40代以下の世代は積立投資に比較的積極的で、この層を通じた「貯蓄から資産形成へ」の進展が期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
資金循環統計(2017年1-3月期)
対外証券投資が一部の主体で売り越しに
2017年07月07日
-
家計の国際分散投資はどこまで進んでいるか
停滞する家計の「ホームバイアス」解消の現状と行方
2017年02月03日
同じカテゴリの最新レポート
-
大和のクリプトナビ No.2 暗号資産価格のリターン・ボラティリティ・相関の特徴
過去のリターンは、将来のリターンに対する一定の予測力が存在
2025年04月15日
-
大和のクリプトナビ No.1 暗号資産価格の歴史的推移
需給の影響を受けやすく、足元では政策や機関投資家の動きも影響
2025年04月10日
-
「職場つみたてNISA」の仕組みと導入意義
ファイナンシャル・ウェルビーイングの向上も期待
2025年03月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日