サマリー
◆日本銀行(以下、日銀)から2015年4-6月期の資金循環統計(速報)が公表された。前期に引き続き、株価上昇等を背景に金融資産残高を増加させた主体が多い。
◆家計の金融資産残高は、現金・預金、株式、投資信託の残高増加を背景に、5四半期連続で過去最高を更新した。リスク資産は、フローでは株式や債券の流出超によりマイナスとなったものの、残高では、株価上昇や、投資信託および外国証券への資金流入を受けて増加となった。前期に引き続き、金融資産に占めるリスク資産の割合が高まっている。
◆年金では、主に財政融資資金預託金や債券の残高減少を背景に、金融資産残高が減少に転じた。債券については、売却が進んだことに加え、金利上昇による時価下落も影響し、残高の減少幅が大きくなったと思われる。ただし、株高や、外国証券の流入超・残高増加により、金融資産全体の減少幅は縮小された。
◆事業会社(民間非金融法人企業)では、金融資産残高が4四半期連続で過去最高を更新した。その主な要因は、株式と対外直接投資の残高増加であり、いずれも過去最高を更新している。フローでは、季節性により企業間・貿易信用の流出超が大きくなったことから、金融資産全体でマイナスとなった。一方、対外直接投資および対外証券投資が流入超(海外への投資増)となり、企業の海外展開への意欲が強いことが窺える。
◆8月中旬以降、中国株の急落が国内の株安にも波及しており、各主体の投資行動に影響を与えている可能性や、家計等の金融資産残高が減少に転じている可能性が考えられる。こうした影響は、次回(2015年7-9月期)以降の資金循環統計で確認していきたい。
【「なるほど金融」の「おカネはどこから来てどこに行くのか 資金循環統計の読み方」もご参照ください。】
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
資金循環統計(2015年10-12月期)
今期から2008SNAを踏まえた見直し後の新ベースで公表
2016年04月22日
-
リスク資産、株安で残高減も資金流入は継続
資金循環統計(2015年7-9月期)
2015年12月21日
-
家計によるリスク資産への投資が増加
資金循環統計(2015年1-3月期)
2015年07月01日
-
年金ポートフォリオの見直しが加速
資金循環統計(2014年10-12月期)
2015年03月23日
-
マイナス金利政策が導入された今期、どのような影響が表れたか?
資金循環統計(2016年1-3月期)
2016年06月27日
-
資金循環統計(2016年4-6月期)
主体により異なるマイナス金利政策導入の効果
2016年09月29日
-
資金循環統計(2016年10-12月期)
株は売り越しが大半だが、株高と円安で残高増加
2017年03月28日
-
資金循環統計(2016年7-9月期)
生保による対外証券投資は3期連続で過去最高の買い越し額を記録
2016年12月26日
-
資金循環統計(2017年1-3月期)
対外証券投資が一部の主体で売り越しに
2017年07月07日
-
ポートフォリオ・リバランス効果の発現か?
資金循環統計(2014年7-9月期)
2014年12月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
利用広がる議決権パススルー
投資信託のリテール顧客による議決権行使の選択が現実のものに
2026年10月26日
-
NISAを始められない若者をどう支えるか
若年層の資産形成の開始・継続の支援、地域連携と金融機関の役割
2026年10月22日
-
こどもNISAをどう活用するか
リスクを考慮した世帯としての現実的な投資行動が肝要
2026年10月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

