総選挙後に議論の加速が期待されるCGコード改訂
2026年02月16日
2025年10月に金融庁で有識者会議がスタートし、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)は5年ぶりに今年改訂される予定である。本稿執筆時点では、有識者会議はまだ1回しか開催されておらず、議論が深まったとは言い難い。
2018年の初回改訂では「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)でCGコードの見直しが指示されたことを受け、議論が本格化した。もっとも、それ以前から検討は進められており、改訂までに計5回の会議が開かれた。2021年の2回目の改訂では「令和2事務年度金融行政方針」(2020年8月31日)で見直しに言及されて以降、計7回の会議が行われた。
これまでの2回の改訂はいずれも大規模な改訂であった。一方、今回の改訂は4つの項目に限られる見込みであり、中小規模の改訂にとどまる可能性が高い。想定されている会議数自体が少ない可能性があるが、それでも衆議院議員総選挙が終了した今、議論を加速させる必要がある。
今回のCGコード改訂で注目されている論点の1つが、「現預金を含めた経営資源の適切な配分を通じた投資の促進」である。仮にこの趣旨がコードに盛り込まれる場合、上場会社の対応としては、キャッシュの調達と使途を示すキャッシュアロケーションの考え方に加え、可能な範囲で具体的な金額や方針を開示することが考えられる。最近では大型の銘柄に限らず中小型の銘柄でも、こうした情報を示す事例が増えており、開示状況は顕著に改善してきている。
もっとも、キャッシュアロケーションの示し方には幅がある。調達面では、今後の営業キャッシュフローのみを前提とするものもあれば、政策保有株や遊休資産の売却、借入、保有現預金まで含めて総合的に精査するものもある。投資家が、現預金を含む経営資源を活用して資本コストを上回るリターンを求めていることを踏まえると、全体を精査したうえで、投資や株主還元などの使途を示すことが期待されるだろう。一方、使途の説明としては成長投資と株主還元の言及が一般的であるが、人的資本投資を示す会社も一部にある。また、投資の成果が利益に寄与する時期を明示する会社も存在する。投資家との対話などを通じて様々な工夫を行われているとみられ、会社ごとの個性や対応方針の違いが表れている。
CGコードがどのような内容になるかは今後の議論次第である。ただ、昨年からの高市首相の発言では、設備投資、人的資本投資、研究開発 投資など、投資の促進に力点が置かれている。市場の一部には、上場会社の株主還元が増加するとの期待も見られる。しかし、今回の改訂の最重要ポイントが投資の促進にあることは、忘れてはならないだろう。
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- 執筆者紹介
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政策調査部
主任研究員 神尾 篤史

