生成AI関連トピックスを振り返る -2025年のキーワードと2026年に向けて -

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2025年12月25日

  • デジタルソリューション研究開発部 チーフグレード 森岡 嗣人

2025年も残すところわずかとなった。今年は生成AI・AIエージェントに関するトピックスが多かったため、その振り返りと2026年への展望もまとめる。

まずOpenAI・Geminiなどの生成AIサービスの一般層への浸透である。技術に敏感なユーザだけでなく、日常の雑談・相談相手、仕事のアシスタントとして多くの人に使われるようになった。これは回答内容、速度、精度などのAIの性能向上に加え、過去の会話履歴を考慮して振る舞う「メモリ機能」が一般的になったことも大きな要因であろう。
今後はAIエージェントができることが指数的に増えると予想される。たとえば、これまでスマートフォンのアプリやブラウザで行っていた作業が、生成AIサービスの中で完結するようになる世界観である。各社は、自社アプリ・サービスをユーザの日々の第一の相棒・窓口となるよう、機能拡充競争を既に始めている。たとえば、検索サービスに生成AI機能が加わっている一方、生成AIサービス側にも検索機能は存在している、などがある。今後は特に使いやすさ(UI/UX)が一層重要となる。また、既存のアプリ・サービス提供者も、この「窓口争い」にどう関わるかのビジネス・サービス戦略の判断が強く求められる次の1年になるだろう。

技術面では、LLM(大規模言語モデル)やFM(基盤モデル)の進化が着実に進んだ1年となった。たとえばAI自身で回答を見直し、より良い結果を出すReasoning機能が主要なモデルに標準装備されるようになった。これにより、ユーザは「精度・結果」と「コスト・時間」のバランスを調整しやすくなっている。つまり、「最もよい結果」だけでなく、「予算内で十分な精度の結果」を得るなど、目的や状況に応じた使い分けが可能になっている。AIを使って達成したいゴールや評価基準を明確に設定することが、生成AIやAIエージェントを効果的に活用するためにより重要なプロセスとなる。

また、Claude CodeなどのAIエージェントツールがIT専門家の間で普及し、Google Nano Bananaのような画像生成ツールがビジネス用途で実用化されるなど、AIエージェントのエコシステムや、画像・音声などのマルチモーダルAIの活用が拡大している。技術やサービスの進化に柔軟に対応し、適切に使い分けるスキルが、ビジネスパーソンに一層求められている。

総括としては、2025年に続き2026年も生成AIやAIエージェントのサービス・技術は発展し続けると考える。AIを目的ではなく手段として最大限に活用するポリシーと、新しい情報にフォローアップする姿勢・好奇心が、今後もますます重要になる。

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森岡 嗣人
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