米国、娯楽用大麻を連邦レベルで合法化…?
2024年12月06日
渡米して一年強が経ち(※1)、その間、米国大統領選挙がトラブルなく終結した。
この間を振り返ると、ニューヨークの印象は、街の「異臭」が多くを占める。「異臭」の正体は、大麻(マリファナ)である。
日本からきた身にとって、この臭いに慣れることは難しく、今でも、大麻の臭いがする場所は遠回りしてでも避けるようにしている。
ニューヨーク州では娯楽用大麻が合法化されていることは事前に聞いていたものの(※2)、これほどまでに日常風景に溶け込んでいることには驚かされた。
共和党が勝利した米国大統領選挙のキャンペーン段階では、民主党候補であったハリス副大統領が、黒人男性支援の一環として、娯楽用大麻を連邦レベルで合法化するという提案をしていた(※3)。
米国では、娯楽用大麻の法的位置付けは州(地区)によって異なる。
ハリス副大統領の主張では、そうした状況において、過去何年にもわたり、黒人が大麻の使用によって過剰な取締りを受けてきているという。
そこで、黒人有権者の多い州(地区)における娯楽用大麻の法的位置付けを調べたところ、図表の通りであった。
黒人有権者の人口と割合が多い上位5州(地区)では、娯楽用大麻が違法であるケースが多い、という結果であった。
こうした州(地区)で大麻を娯楽用として使用すれば、逮捕されることになるのだが、ハリス副大統領は、それを「不公平」と考えたのかもしれない。
それでは、米国大統領選挙では共和党が勝利したので、娯楽用大麻を連邦レベルで合法化するという提案は立ち消えになるのかというと、そういうわけではなさそうである。
というのも、この提案は、今回の大統領選挙では極めて稀な、超党派のものであったという(※4)。
なお、トランプ次期大統領も今年9月に、自身のソーシャルメディアにて、フロリダ州における娯楽用大麻の合法化に前向きなメッセージを発信している(※5)。
もっとも、今年11月に次期司法長官に指名されたパム・ボンディ氏は、フロリダ州司法長官として、2018年に同州における娯楽用大麻の合法化を阻んでいることから、連邦レベルでの娯楽用大麻の合法化となると、次期共和党政権のスタンスは目下不透明な状況といえる。
仮に娯楽用大麻が連邦レベルで合法化すれば、大麻使用人口の増加が予想され、その恒常的な使用により心身に影響を受ける人も増加するだろう。
街中で、未成年のように見える若い世代の人々が、「歩きたばこ」をしているかのように大麻を無邪気に吸引している姿を見るにつけ、どうにも心配になってしまうのである。
(※1)本稿執筆時点(2024/11/25)
(※2)「ニューヨーク州及びニュージャージー州における娯楽用大麻の合法化に関する注意喚起」(外務省、2021/4/1)
(※4)‘The Rare Bipartisan Issue in This Year’s Election: Recreational Weed’ (The Wall Street Journal, 2024/10/21)
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- 執筆者紹介
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ニューヨークリサーチセンター
主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光
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