ChatGPT:退職金運用アドバイス編
2023年08月03日
もうすぐ退職金を受け取る予定のN氏(59)は新しい道具「ChatGPT」に恐る恐るアドバイスを受けることにした。以下、N氏が行った実際の質問2つとそれらへの回答である。
Q-1 退職金で投資を行うために専門家のアドバイスを受けたいのですが、評判の良いアドバイザーを3社教えてください。
A-1
退職金での投資に関するアドバイスを受けるためには、信頼できる専門家のアドバイスが必要ですね。以下は、評判の良いアドバイザーの3社です。
- X証券 - 大手証券会社であり、幅広い投資商品を提供しています。退職金の運用についても専門家がアドバイスを行っています。
- Y証券 - 世界的な投資銀行であり、高度な投資戦略を提供しています。退職金の運用についても、専門家がアドバイスを行っています。
- Z証券 - オンライン証券会社であり、手数料が安く、初心者でも扱いやすい投資商品を提供しています。退職金の運用についても、専門家がアドバイスを行っています。
ただし、投資はリスクが伴いますので、投資に関する知識やリスクについても理解しておくことが大切です。
Q-2 X証券かY証券で退職金の運用のアドバイスを受けようと思います。それぞれの特徴とお勧めするポイントを教えてください。
A-2
X証券とY証券は、ともに日本を代表する大手証券会社です。退職金の運用についてアドバイスを受ける場合、以下のような特徴やポイントがあります。
- 【X証券】
- ・長年の実績と信頼性がある老舗証券会社
- ・投資信託や株式などの幅広い商品を取り扱っており、多様な運用スタイルに対応可能
- ・初心者向けの情報提供や教育プログラムが充実している
- 【Y証券】
- ・グローバルな視野を持ち、海外投資に強い
- ・投資家のニーズに合わせたカスタマイズ型の運用サービスが充実している
- ・投資家向けの情報提供やセミナーなどが充実している
どちらの証券会社も、退職金の運用についてアドバイスを受けることができます。X証券は初心者向けの情報提供が充実しており、Y証券はグローバルな視野を持ち、カスタマイズ型の運用サービスが充実しています。自分に合った証券会社を選び、適切なアドバイスを受けることが大切です。
投資初心者のN氏は、ChatGPTの親身な口調とアドバイスに意を強くしてまずは近所のX証券の支店に赴いた・・・。
さて、X証券やY証券の営業企画部門は、N氏のような潜在顧客によるChatGPTなど生成AIの利用に対して、今後どんな戦略や対策をとるのだろうか。実際にはN氏の質問の仕方や言葉遣いによっても回答は変わってくるだろう。また、投資家の生成AI活用とそれに応じた証券会社等のマーケティング戦略は市場の公正性や透明性にどのような影響を及ぼしうるのであろうか。 筆者の現時点での大まかな見解は以下の4点である:
(投資家や証券会社による生成AI活用に関わる現時点での私的見解)
- 投資家が一般的な投資関連情報や投資判断の材料を求めてChatGPT等の生成AIを活用する機会が増えるだろう。
- 証券会社等は顧客への情報提供での生成AIの使用を進め、また、投資家の生成AI活用を想定したマーケティング戦略を検討するだろう(後者に関してはステルスマーケティングの要素も持ちうる。また、上場会社等の発行体による広報、IR面での活用もありうる)。
- 証券会社や投資アドバイザー等の生成AI活用については規制を行うことが可能と考えられるが、他方、投資家による生成AIの利用については金融リテラシー教育等を通じた十分な啓蒙活動が必須になると思われる。
- 現時点で、投資や投資関連サービスにおける生成AIの活用が将来的に証券市場の取引の公正性や価格形成にどれほどの影響を及ぼしていくのかを予測することは困難である。今後、グローバルなレベルで継続的に証券市場を注視し、国際的な枠組みで「市場の公正性の確保のための監督と施策」、「生成AIに対する規制の在り方」を構築していく必要があるのではないか。
*文中のChatGPTへの質問と回答は、筆者が、生成AIによる回答例を示す目的を持って2023年7月27日にGPT-3.5のモデルを使用して実際に質問し、回答を得たもので、質問、回答とも全文を掲載している。ただし、証券会社の社名はQ-1への回答で得た3社をそれぞれX社、Y社、Z社とし、Q-2の質問の際にはX社、Y社の実名を使用した。
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コーポレート・アドバイザリー部
主席コンサルタント 小島 一暢