「自分年度」を作ってみませんか?

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2023年01月27日

  • 政策調査部 足立 雅準

インフルエンザが流行シーズンに入ったという自治体からの感染予防の呼びかけを、昨年の暮れ頃から年を跨いでいくつか目にした。新型コロナウイルス感染症がなかなか収束しない中、「フルロナ」リスクの到来である。そして、それに呼応するかのように受験シーズンもやってきた。体調管理も実力のうちなどと言われるが、受験生にとっては、まさに受難である。

日本の学校年度が4月から翌年3月だから、受験シーズンが季節性インフルエンザの流行期と重なるわけだが、では、なぜ日本の学校は4月から始まるのか。1886年、国の会計年度が「4月から翌年3月まで」になるとともに、徴兵令が改正され、それまで9月1日だった徴兵対象者の届出期日が4月1日に変更となった。それに合わせる形で学校年度が4月から翌年3月となったそうである。ちなみに、日本以外のG7諸国は一般的には秋季入学である。

日本でも秋季入学導入を再度検討すべきという話もあるが、ここで注目したいのは、「年度」という概念である。そもそも年度とは、「特定の目的のために規定された1年間の区切り方」である。身近なところでは、会計年度、事業年度、学校年度であるが、それ以外にも、いも年度、大豆年度、麦年度といった農作物に関連する年度や酒造年度や砂糖年度といった食品・加工品に関連する年度もある。スタート月が異なる様々な年度があるのである。

つまり、期間が1年間であることを守りさえすれば、テーマに応じて、開始と終了の時期を自由に決めることができる。そして、「年度」のもう一つの特徴が、前後の年度の状況と比較することにより、実績や目標管理するための「ものさし」となり得る点である。そこで、提案したいのが、自分用の「自分年度」を作ってみてはいかがかということである。

まずは、自分が興味を持っている数値化が可能な取り組みを実践してみる。そこから1年後に開始する翌年度については、前年度の数値をベースに目標を設定し、それ以降は毎回「自分年度」末に達成度を見る。取り組む内容は、1年間に読む本の冊数でもよいし、皇居1周を走るタイムでもよい。見える化することで、客観的に自分の課題やスキルを把握する。課題があれば原因を特定して対策を取り、スキルアップが認められるものについては次のアクションを考える。例えば、皇居1周のタイムが30分を切ったら2周にトライし、2周が45分を切ったら、ハーフマラソンに挑戦するという具合だ。

何事も最終目標を最初から決めることは難しい。まずは走り出すこと。それによって見えてくる景色の中から、次の目標、そして最終的な目標を見つけ出す。そのために、「自分年度」でPDCAを回すという考え方を明確に意識して活用することもありではないか。

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