仕事が早い人
2023年01月25日
忘年会や新年会等の社内イベントが会社で大々的に行われることは少なくなったが、少人数の集まりならいいだろうと同期に誘われ年末に忘年会を行った。久しぶりの飲み会とあって話に花が咲いた。職場の同期との飲み会は共通事項となる仕事の話題が多くなる。特に「あの先輩は仕事が早くて優秀だ」などの人物評価はよくある流れだ。毎日何件もの顧客訪問を行いつつ完璧なプレゼン資料を作成している姿をみていると話題にあがるのも当然だ。質と量を高めると長時間労働になりがちなコンサルティング業界ではまさに理想とすべき働き方といえる。
仕事が早いという言葉はよく耳にする。仕事が早いとはどういうことか、幸運にも自分なりの答えを得たのは新人の頃だ。新人の部署配属が決まると、配属先の先輩社員と順番に面談する機会があった。仕事ができると評判の先輩に「仕事が早いとは」と質問してみた。すると少し考えた後、「手戻りがないことだよ」と教えてくれた。「仕事が早い」などのキーワードで検索すると実に多くの書籍がヒットするだろう。筆者も色々な書籍を読んでみたが、どれも腹落ちしなかった。書いてあることに間違いないだろうが、筆者が経験したことを踏まえると心から納得できたのは「手戻りがないこと」だった。なお、答えを得たのは新人の頃だが実践できるようになったのは十数年経ってからだ。筆者は「手戻りがない」仕事をするためには主に「仕事を丁寧に行うこと」と「先読みすること」の2つが大切になると考えている。仕事を丁寧に行うとは文字通りミスなく仕事を進めることである(丁寧さにはその仕事の合格点を超越するような極端なこだわりを求めているわけではない)。また、先読みすることとは「背景を考える」という言葉に換言することもできる。例えば、顧客からの問い合わせに対して、顧客自身が深く知りたいためか(又は単純な質問なのか)、顧客の上司に伝えるためか、第三者からの問い合わせに対応するためかを読み取ることが大切だ。核心的な回答をすることで冗長的なやりとりを排除することができる。
仕事のスピードはこれまでの経験の蓄積によるところが大きいので一朝一夕にスピードをあげることはできないだろう。しかし、常日頃から丁寧に仕事を行うことや先読みすることを意識的に行うことで少しずつスピードをあげていくことが重要だ。もちろん、さまざまな仕事がある現代社会において少々の手戻りを許容し、試行錯誤を繰り返しながら進める仕事も多いだろう。読者の方が自分なりの仕事のスピードについて今一度考えるきっかけになれば幸いだ。
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- 執筆者紹介
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データアナリティクス部
主任コンサルタント 岡本 紘和
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