ポストコロナにおいて期待されるスポーツの経済効果
2023年01月11日
昨年暮れに開催されたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会は、強豪国に勝利したSAMURAI BLUEの活躍もあり日本でも大いに盛り上がった。ある試算によれば、日本国内の経済効果は163億円(※1)に上ったとのこと。2018年ロシア大会の215億円(※1)には及ばないが、両大会とも同じベスト16まで進出した中での経済効果という点を勘案すると、スポーツ観戦や関連ビジネスにもポストコロナが定着しつつある状況がうかがえる。
しばしば耳にする、この経済効果とは何か。一般に、大会の開催等がその国や地域の経済に与える影響を3つの要素から算出した金額のことで、スポーツを例にすると概要は以下の通りである。
●直接効果:
何らかのイベントが開催された場合、会場に訪れたファンや観客が交通費・グッズ代・飲食費等を使うこと。
●一次波及効果:
会場に訪れたファンや観客が利用した店・ホテル等に食材・商品等を提供している企業の売上が増加すること。
●二次波及効果:
直接効果と一次波及効果によって利益を得ている店・企業の従業員が昇給で通常よりも多くモノを購入した時の消費額等。
では、どのようなイベントがどの程度の経済効果をもたらしているのか。当然ながらW杯のような世界的な大会の経済効果は大きく、前述したサッカーW杯ロシア大会は約3兆円(※2)と試算された。また、初の自国開催かつベスト8進出により、やはり日本の躍進が記憶に新しい2019年ラグビーW杯の経済効果は6,464億円(※3)で、サッカーには劣るもののラグビーとしては過去最高の規模となった。
個別チームによるイベントの経済効果が大きい代表例には、プロ野球チームの優勝が挙げられる。少し遡るが、2003年に阪神タイガースが18年ぶりに優勝した時の経済効果は1,481億円(※4)と試算され、200億円~400億円が平均値と言われるところ、個別チームの経済効果としては群を抜く水準であった。奇しくも本年のペナントレースで優勝すれば同じ18年ぶりだが、経済効果とともに2003年の再現となるだろうか。
このようにスポーツは期間限定のイベントでも何億円・何兆円という経済効果を生み出す魅力や価値を秘めており、上記はあくまで一例に過ぎない。メディア報道やスポンサーを通じたグッズやスポーツ用品・教室の売上向上、イベント開催を契機とした交通網整備による地域貢献等、会場のファンや観客への販売以外を起点とする収益獲得の仕組みも確立できれば、経済効果はさらに高まる。個人として傑出した経済効果を創出しているメジャーリーガー大谷翔平選手がその好例で、本拠地の観客動員・年俸・グッズ売上・放映権収入等の米国での直接効果に加え、応援ツアー・出演CM等の日本国内の直接効果が大きいという。結果、二刀流での活躍に磨きがかかった昨年の経済効果は実に457億円(※4)と推計されている。
コロナ禍に行動制限を強いられた反動等もあり、アスリートの直向きな姿がヒトに与える感動・勇気・刺激といった影響は以前より増している。本年も日本国内の各種スポーツはもちろん、大谷選手も出場見込のワールドベースボールクラシックやラグビーW杯等の世界的な大会が開催される予定だ。ポストコロナにおいてこそ、こうしたイベントを通じて影響を受けたヒトの動きがより活発化し、カネやモノへと一層大きな経済効果が波及していくことを期待したい。
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