コロナ下の生活習慣

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2022年08月16日

  • マネジメントコンサルティング部 主席コンサルタント 吉村 浩志

新型コロナ流行下での三度目の夏を迎えた。さすがにここまで続くとは考えていなかった人も多いと思う。筆者もそのうちの一人である。外出時のマスク着用等、一時的な対応と考えていたことも、徐々に普通の習慣になってきたきらいがある。

テレワークについても、東京都に限れば、その実施率は2019年12月の17.8%から2020年5月には48.4%まで上昇し、2021年以降は50%を超える水準で推移している(※1)。

筆者自身も、勤務スタイルは在宅中心となった。通勤がなくなることで、歩数が劇的に減少した。せめてもの救いは、思うところあって、新型コロナ流行の1年程前にジョギングを開始し、継続していたことだった。何もしなければ歩数が9割減となるところ、7割減に留めている。

もっとも、ジョギングといっても、毎日10分ちょっとというお手軽なものであり、本格的なランナーには一笑に付されそうなものである。ただ、この10分があることで、軽く汗を流し、気持ちを切り替えることができ、精神の安定を維持することができていると思う。

ジョギングを始める遠因になったのは、『小さな習慣』という本を読み、「”小さすぎて失敗すらできない”ちょっとしたポジティブな行動」を少しばかり実践し、「毎日これだけはやると決めて必ず実行する」ことの大切さを実感したことだと思う。意識せずとも、日々の運動量を測ることができるように、スマートウォッチを購入し、肌身離さず身に着けるようになったことも大きい。

こうして、自分の中にジョギングを受け入れる準備ができつつあるときに、村上春樹の『走ることについて語る時に僕の語ること』を読んだ。専業小説家になった村上が体調を維持するために、走ることを始めた経緯が書かれており、大きな刺激を受けた。自分も走ってみようかなと考えた。

そこで、少しだけコンサルタントの眼で、自分を見つめなおした。一日10分ならば、走る準備と走った後のストレッチを考慮しても、20分~30分程度。早朝か夜にできないことはない。一日30分となると、前後の時間を考慮すると1時間前後の時間がかかり、「やらない理由」「できない理由」を考えて、さぼる可能性が高まるだろう。そうして選んだ目標時間が10分以上だった。

いくつかのきっかけが重なって始めたジョギングが、コロナ下において、自分を心身ともに支える生活習慣になったのはちょっと不思議な気がする。本から得た気づき、スマートウォッチというテクノロジー、新型コロナという自分ではコントロールできない環境変化、これらのすべてが絡み合って、一日10分以上のジョギングという私のささやかな習慣が続いている。

参考文献
『小さな習慣』(スティーヴン・ガイズ著、田口未和訳、ダイヤモンド社、2017年)
『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹著、文芸春秋、電子書籍版、2015年)

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マネジメントコンサルティング部

主席コンサルタント 吉村 浩志