サステナビリティが変える企業価値

~ インパクト指標を活用し、価値創造ストーリーを語る ~

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2022年07月26日

  • マネジメントコンサルティング部 主席コンサルタント 弘中 秀之

“サステナビリティ”を軸とした具体的な、より踏み込んだ取り組みが欠かせない時代が始まった。脱炭素やTCFD提言への対応に頭を悩ませている企業担当者も多いことであろう。経営者にとっては、これらの取り組みをどのように企業価値向上に結び付け、そのストーリーをステークホルダーや投資家に伝えていくか、難しい課題に直面していると言える。

一方で、投資家にとっては、サステナビリティをどのように投資基準に組み入れていくかが重要なテーマとなっている。

経済産業省では、「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会」(サステナビリティ・トランスフォーメー ション(SX)研究会)を2021年5月に立ち上げ、企業と投資家の対話の在り方に関し議論を行っている。2022年7月に開催される第8回研究会では、「SX版・伊藤レポート(案)」が示される予定となっている。

サステナビリティと企業価値に関しては、社会や環境等への取り組みや投資がどのように企業財務を向上させていくのかという論点のほか、社会や環境等の変化が企業財務にどのような影響を与えるのかという論点がある。また、企業の取り組みや投資が社会や環境等の維持改善にどの程度のインパクトを与えることができるのかという非財務の論点もある。さらに、効果が表れるまでの時間軸が長期か短期かという論点もある。このような論点において、企業と投資家の間には様々な考え方のギャップが存在する。前記SX研究会では、長期の時間軸で、企業のサステナビリティ(企業の「稼ぐ力」の持続性)と社会のサステナビリティ(将来的な社会の姿)を同期化し、企業と投資家の対話を促進する重要性が示されている。

このような企業と投資家のギャップを解消する考え方となる「“インパクト指標”を活用し、パーパス起点の対話を促進する ~企業と投資家によるサステイナブルな資本主義の実践~」が2022年6月14日に経団連より公表された。

企業のパーパスを起点に、インパクト指標の目標値を長期目標として設定。財務目標等と併せ、その達成までの道のりとなる長期経営戦略を価値創造ストーリーとして策定する。これを企業と投資家を含むステークホルダーとの共通言語として対話を促進し、ギャップの解消につなげようという考え方(下図参照)である。

インパクト指標とは、「事業や活動の結果として生じた、社会的・環境的な変化や効果を示す指標」と定義されている。

価値創造ストーリーの策定は簡単ではないと思われるが、このようなストーリーを基にした対話が積み重ねられることは、企業のサステナビリティへの取り組みをより深化させ、投資家もこのような企業へ投資する理由を明確化でき、投資しやすくなる。投資家以外のステークホルダーが企業の取り組みを後押しすることにもつながる。

サステナビリティや脱炭素が世間で強く叫ばれながらも、自分の行動も含め今ひとつ、世の中の一人ひとりの行動や価値観、サービス選択の判断基準につながっていない点に“もやもや”を感じている。このような取り組みが世の中に広く浸透することにより、この“もやもや”が解消され、真のサステナブルな社会につながればと思う。

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弘中 秀之
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