2021年05月19日
ビジョン・経営方針や中期経営計画において、データやデジタル技術を活用した新たな価値創出の取組みや、これを支えるための体制・人材・外部連携の在り方等について発信する企業が増加している。一方で、現行のビジネススタイル・働き方等を転換することは困難と判断し、DX(デジタルトランスフォーメーション)への関心・取組みが限定的な企業もあり、DX推進の二極化が進んでいる印象だ。
企業担当者様にヒアリングをすると、「なかなかトップにご理解いただけない」「システム・DXについて知見・理解のある役員が少ない」という経営・現場との温度差や、「DXはシステム部門で対応している」として他部門が把握していないケース等が多く見受けられる。気になるのは、「社内の業務効率化は取り組んでいるが顧客提供価値の視点がない」「DXに対する企業としての共通認識がない」という意見で、漠としたDXに取り組むことが目的となっているケースである。
企業のDX推進は、①全社横断型、②システム部門主導型、③個別対応型、④未着手、の4類型に大きく分けられるが、いずれも経営トップ・経営陣の意志が強く反映された結果(状態)と言えるだろう。企業価値に寄与するDXには、推進力・派生力を持つ経営トップの強い信念とリーダーシップが重要となる。さらには、経営陣全体が外部環境の変化に伴う既存ビジネスへの危機感・新たな価値創出の必要性を強く認識し、自社としてのDXの定義を適切に共有した上で、持続的に経営を管理・推進していくことが必要である。
デジタルガバナンス・コードおよびDX認定基準では、デジタル環境を踏まえたビジョン・ビジネスモデル・戦略等を開示することが求められており、企業一体となってDXを取り組むためのフレームワークとして参考となる。DX認定はDX銘柄のエントリー要件となったこともあり、2020年11月の創設以来、約100社の企業が認定された。認定企業は非上場からDX銘柄2020まで多岐にわたり、業種の偏りなく多種多様となっている。
DX認定は、DX-Readyの状態(企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態)であることに国がお墨付きを与えるものである。2021年4月にはDX認定企業のためのロゴマークも作成された。DX認定取得を目指す企業はさらに増えていくものと想定される。
認定基準では、DX推進に必要な組織・体制やKPI(デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標)等の公表も求められている。これらは顧客提供価値を起点としたビジョン・戦略等から展開されており、各社のビジネスの特徴・重きの置き方がうかがえ、示唆に富んだものとなっている。
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- 執筆者紹介
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マネジメントコンサルティング部
主席コンサルタント 元秋 京子
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