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コロナショック下における雇用調整助成金の失業率抑制効果

2021年03月29日

経済調査部 研究員 田村 統久

世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言して1年以上が経過した。2020年の日本経済は大きく動揺し、雇用環境も急変した。こうした中で失業率の急上昇を食い止めてきた一因が、雇用調整助成金(以下、雇調金)をはじめとした雇用対策だ。

政府が積極的に制度を拡充してきたことで、雇調金(緊急雇用安定助成金を含む)の支給決定額はすでに3兆円を上回った。雇調金の支給はリーマン・ショック後の特例下にも急増したが、2008~2010年度の執行額(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)を累計しても1兆円に満たない。感染拡大後の雇調金の支給はまさしく桁違いの規模で進んだ。

雇調金はどの程度失業率の上昇を抑制したのか。内閣府「日本経済2012-2013」によると、リーマン・ショック後に急増した雇調金の支給は2009年4~12月の失業率を0.4~0.8%ポイント抑制した。この手法を参考に、感染拡大の最中にあった2020年4~12月の失業率抑制効果を試算し、リーマン・ショック時と比べたのが図表である(※1)。これによると、2020年4~12月における雇調金の失業率抑制効果は2.0~2.4%ポイントだったとみられる。結果は幅を持って解釈する必要があるが、仮に感染拡大後に雇調金が十分に機能しなければ、失業率は一時5%超に達した可能性がある。

図表からは、リーマン・ショック時と今回で雇調金の拡充内容に違いがあることも読み取れる。今回の雇調金が、リーマン・ショック時よりも支給額が多いわりには失業率抑制効果が小さいのは、支給日額上限の引き上げを背景に、1人1日当たりの支給が多額になりやすかったためと解釈できよう。

雇用安定事業の「雇用安定資金」はすでに底をつき、失業給付等に充てるべき「積立金」からの借り入れも行われている。雇調金が本来保険であることに鑑みると、雇調金の現行の枠組みは維持しづらい状況にある。業況の回復が進んでいる業種も少なくない中で、業種を問わず一律的に手厚く支援する必要性は低下している。今後はむしろ、支援にメリハリをつけるなどして、雇用対策をより持続的な形に調整していくことが肝要だ。困窮する地域・企業への手厚い支援を続ける一方で、日額上限や支給要件などを調整し、必要度の低い支援を抑制していく必要がありそうだ。

雇用調整助成金の失業率抑制効果と支給額

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