M&Aを成長のツールに

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2021年02月01日

  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 真木 和久

コロナ禍において、外食産業をはじめ、苦境にあえいでいる企業は多い。コンサルティングの現場においても、合理化や効率化等を目的とした業務依頼が増えてきている。これ以外には、持株会社化等のグループ再編により、経営スタイルを一新したいというニーズも多い。また、意外に、M&Aの相談も多くなってきた。
一般的に、M&Aを行う企業は多いものの、実際に成果を得ていく会社は少ないといわれる。
では、M&Aで果実を得る会社とは、どんなやり方を行っているのだろうか。

事例を使って説明したい。
A社とB社(A社地盤の近隣に展開)があり、どちらも、同種の小売業を営んでいるとする。A社とB社が経営統合を行ったとする。「経営統合」もM&Aのカテゴリーに分類される。
「経営統合」後、どのようなことが予想されるだろうか。
店舗が重複していれば、店舗統合が行われ、閉鎖店舗も出てくるかもしれない。A社・B社が一定の規模の会社であれば、共同仕入を行うことで、メリットがあるかもしれない。また、物流を効率化できる可能性も考えられる。情報システムの一本化、本社のスリム化も検討の余地がある。これらは、経営統合による「シナジー」と呼ばれるが、どちらかというと、コスト削減を目的としている。
これらとは異なり、収益拡大のための「シナジー」も考えられる。例えば、相互の顧客紹介による売上の拡大や、新規出店等により、トップラインの増大を図る方法である。
ただ、こちらは定量化が難しく、コスト削減等の合理化効果の方が目に見えやすい。
こういったM&Aの効果を梃に、次なるM&Aを行ったとする。そうすると、C社の加入により、店舗のネットワークは拡大し、知名度もアップする。サービス網・物流網も広がり、売上のチャンスが増大する可能性がある。
このM&Aによっても、合理化等により、一定のコスト削減が見込めることが考えられる。そうすると、次のM&A資金に充当できるかもしれない。

M&Aに長けた会社は、以上に述べたような好循環を実現させている可能性が高いのではないか。そうすると、M&Aによって、当初の規模をはるかに超える規模の会社が出現するかもしれない(当然、その規模の会社を経営する器が、経営者には求められることになる)。

経営においては、本業を発展させることが、第一に重要である。ただ、不安定な時代に、本業のみで生き残っていけるのか、不安を抱える経営者は、多いだろう。事業継続のためには、第2の柱、第3の柱を考えていく必要があるのではないか。その手段の一つとして、M&Aという選択肢がある。

「M&A」を意義あるものにし、その効果を確実に得ていくために、外部の独立した第三者機関であるコンサルティング会社の活用は、非常に有効な手段となる。

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真木 和久
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コーポレート・アドバイザリー部

主任コンサルタント 真木 和久