習うより慣れよ? まずは取り組むSDGs

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2019年09月11日

  • マネジメントコンサルティング部 主席コンサルタント 吉村 浩志

殺人的な猛暑が和らぎ、早朝などはめっきり秋めいてきた。芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋など、楽しみ方は各人各様だが、「SDGsの秋」というのもありだと思う。「春先に検討を開始したけれども、その後、色々あって…」という方も、再開するには絶好の季節だと思う。

取り組みを進めるにあたって活用できるガイドブック、情報サイト等が、ここ1~2年で充実してきたことも見逃せない。

筆者の一押しは環境省の『SDGs活用ガイド』(※1)だ。このガイドの主な対象は、「職員数や活動の範囲が中小規模の企業・事業者」とされているが、企業規模の大小を問わず、使えるガイドだ。例えば、ガイド本編の「4.3 取組手順」を開くと、5つの手順が示されている。「手順1:話し合いと考え方の共有」「手順2:自社の活動内容の棚卸を行い、SDGsと紐付けて説明できるか考える」「手順3:何に取り組むかを検討し、取組の目的、内容、ゴール、担当部署を決める」…といった具合に、順を追って取り組めば、一回転できるようになっている。

『SDGs活用ガイド』の良いところは、『SDG Compass』(※2)の「5つのステップ」を意識しつつ、より身近な目線で、使いやすい内容になっていることだ。関心がある人間が集まり、これから社内で取り組みを進めようという時に、これをマニュアルに「まずは始めてみよう」というノリで使うことができる。小さな取り組みでも良いから、まずは開始し、実際に取り組みを実施し、その結果を評価し、次に生かしていくというプロセスが大事だと筆者は思う。つまり、「習うより慣れよ」ということである。

そのように考えると、実は大企業にこそ、このようなガイドブックが必要なのかもしれない。企業規模が大きくなると、CSR部門等の専門の部署があり、その結果、往々にして「SDGsはCSR部門の仕事」という状況が生まれることがある。外部発信も大事だが、社内でSDGsに目覚め、何らかの形で関わろうという人が増えることこそ、長い目で見れば、SDGs達成に貢献でき、自社の価値も高まるのではないだろうか。

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マネジメントコンサルティング部

主席コンサルタント 吉村 浩志