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ウーバーイーツにみる新たなライフ・スタイル・モデル

2019年07月25日

河口 真理子

Uber Eatsのタグの付いた四角い黒や緑の大型リュックを背負っているサイクリストを街で見かけることが増えた。Uber Eatsって??と思っていたら息子がこのバイトを始めた。一般的な大学生のバイトの店の売り子や塾の講師は面接があり、さらに時間と場所に縛られるため意外と合うバイトを見つけるのは難しい。一方Uber Eatsの場合はネットで申し込み、簡単な説明会に参加し、数日後に保冷型リュックと業務マニュアルが自宅に送られてきて、あっという間に配送パートナーとなった。

仕事の手順も簡単だ。スマホにアプリをダウンロードし、働きたくなったらアプリをオンにする。自分がいる場所近くの料理店と配送先の地図データが送られてくる。お店で料理を受け取り、配送先に自転車で届けるまでの所要時間は10~30分程度。届け終わるとその場近くの次の注文が入ってくる。終了する場合はアプリを切ればよい。バイト代は、時給換算で1000円超くらいになるので一般のバイトに引けを取らない。プラス運動になるというオマケもついている。

意外とマクドナルドなど簡単なものが多いようだ。実際Uber Eatsの注文画面にはファストフードチェーン、カフェ、定食店、回転ずしなどお手軽な料理がずらっと出てくる。凝った専門店の料理ではなく、ファストフードを宅配してもらいたいニーズが多いとは意外だった。しかも配送手数料はスターバックスやマクドナルドなどの場合で390円と安くない。しかし、子育てや介護あるいは仕事などで外出できない人も少なくないのだろう。また自転車で10分の距離とは徒歩で30分以上かかる。電車賃やタクシー代を考えると390円は安いともいえる。

働き方の多様性、宅配ニーズを考えると、このビジネスの将来性は高そうだ。料理店も今まで来店できなかった顧客も取り込むことができる。一方で配送人をパートナーと呼び、マニュアルには、パートナーは個人事業主であり、Uberとの雇用関係はなく、事故の保険は自己責任で加入することが明記されており、事故補償などは今後の課題だろう。しかしこれは同時に次世代のワークスタイルと、ビジネスモデルを示唆していると感じる。

ワークスタイルとは、働き手が自分のスキルや役務を好きな時好きなだけ提供して対価を得るという仕事のスタイルだ。今まではスキルや役務の需要と供給の情報を直接入手することが物理的に困難なので、供給者が集まって職場を作り、需要者はそこにアプローチした。しかし、ネットを使って個別のスキルや役務の提供者の一覧に簡単にアクセスできるようになれば、大規模な職場を構える必要性は減る。提供者は自分のスキルや役務、働く場所や時間などの条件を登録し、需要者はそれを基に発注先を選べばよい。Uber Eatsは料理の配送という役務だが、同様のマッチングは、今後ほかの役務やスキルにも広がっていくだろう。

次に新たなビジネスモデルとは外食ビジネスである。今までは宅配ピザやそば屋などの出前をのぞけば、料理店の料理はお店以外では食べられないのが当たり前だったが、これでさまざまな店の料理が自宅やオフィスなどで簡単に手に入るようになった。ネット通販が買い物の在り方を変えつつあるのと同様に、Uber Eatsは「お店でプロが作った料理をその店の雰囲気やサービスとともに味わう」という「外食」の在り方も変えていくだろう。

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