目線を上げることの効用
2019年02月14日
ランニングは、現代日本の市民スポーツとして定着した感がある。実際、日本におけるジョギング・ランニング人口は2018年で約964万人と、2002年(同483万人)比でほぼ倍増している。ちなみにこのスポーツ人口は、ウォーキング2654万人、筋トレ1565万人に次いで多く、競技系スポーツ人口の上位種目である卓球(581万人)、バドミントン(518万人)、サッカー(435万人)をはるかに超えている(※1)。
東京では、皇居の周りを走る「皇居ラン」が定番のランニングコースになり、周辺には手軽に利用できるランニングステーションが多くある。市民向けのマラソン大会も各地で開催され、全国から参加者が多数集まる地域興しイベントになっているケースも見受けられる。健康志向に加え、年齢や場所を問わず、特別な道具を揃えることもなく始められる気軽さが、市民のスポーツとして定着した要因であろうか。
私事ではあるが筆者も週に1、2回程度走り、3年前からは年に1回ハーフマラソンの大会に参加している。先日、1月末の大会を前に練習中股関節が痛くなり、このままでは走れないかもしれないという考えが頭をよぎった。ともあれ専門家の意見を聞くためかかりつけの整骨院に行ったのだが、結果としては、関節のズレを整えてもらい、またアドバイスに従って走り方を少し変えただけで、痛みもなく、無事に21kmを完走できたのであった。その際にもらったアドバイスというのは、「頭を上げて、目線を遠くに向けて走る」という、本当に簡単なものであった。しかし意識をしないと知らず知らずのうちに足元を見ながら走ってしまい、上半身が安定しない、気道が狭くなり呼吸が浅くなる、ストライドが狭くなる、など長時間走る上での障害となる要因を自ら作っていたのである。結果的には、そのことが膝や股関節等にも負担を与えていたのであろう。
そういえば、企業経営における経営ビジョンや中期経営計画の策定の目的もそれに似たところがある。足元の課題がなかなか解決しない時、一度、少し先の将来(例えば3年後)をイメージすることで、改めてゴールを明確にし、障害となっている要因をあぶり出すことができるのである。企業経営に限らず、日々の仕事や生活においても、目線をあげることを意識することで、気づかなかったことに気づけるのではないだろうか。しかし、時々は足元へも注意を払うことを忘れないでほしい、なんでもない石ころにつまずいて転んでしまわないように(体験済)。
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- 執筆者紹介
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コーポレート・アドバイザリー部
主任コンサルタント 宮内 久美
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