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毎月分配型投信の「見える化」をいかに行うべきか

2018年12月17日

森 駿介

想定した以上に長生きすることで資産が枯渇してしまう「長生きリスク」への不安が高まっている。公的年金制度に対する不安の高まりや退職金の減少傾向などもあり、退職世代にとっては資産を上手く「運用しながら取り崩す」必要性がより高まっていると考えられる。金融庁も「資産寿命の延伸」を図るための検討を進めており、その解決策の一つとして「『見える化』を通じたより良い商品・サービスの選択」が取り組むべき方向性のアイデアとして示されている。これは、金融機関が提供している商品・サービスが退職世代等のどのようなニーズに応えるものか「見える化」することで、退職世代がニーズに合った商品・サービスを選択しやすいメカニズムの構築を目指すものである。

運用商品に関して、筆者は毎月分配型投信の「見える化」がまずは図られるべきではないかと考えている。なぜなら、毎月分配型投信は退職世代からのニーズが高い商品だからだ。毎月分配型投信に対しては、原資を分配金として払い戻す「タコ足」配当になる可能性もあり、資産形成に向かないという批判がある。一方で、資産形成ではなく「運用しながら取り崩す」ことが前提の退職世代にとっては「タコ足」配当だから駄目だと一概には言えないという見方もある(※1)。ただし、元本を取り崩す可能性があることを知らずに投資する退職世代がいるのであれば問題だろう。退職世代にこの点を周知するための、商品の分配機能の「見える化」が今後は必要だと思われる。例えば、年間の分配率を定めたうえで、元本の取り崩しや払い戻しの可能性を目論見書の特色や商品紹介のウェブサイト等に明記した投資信託も出てきており、運用商品の「見える化」の第一歩と言えるだろう。

「見える化」をさらに追求するのであれば、「毎月分配型投信」という商品分類だけでなく、「取り崩し型投信」という商品分類を設けることも一考に値するかもしれない。なぜなら、「分配」と聞くと「分配金は利益の中から発生している」という印象を与えてしまう可能性があるためである。「運用成績に関わらず、毎月一定額を取り崩したい」というニーズを持つ退職世代に「取り崩し型投信」を提案できれば、「毎月分配型投信」の運用成績が悪化した際に、十分な利益が生じていないことを理由に分配金を減らしやすくなるかもしれない。そうすれば「タコ足配当だから毎月分配型投信は問題だ」という批判も和らぐだろう。また何より、顧客にとって商品の機能の違いがより分かりやすくなり、自身のニーズに合った商品・サービスが選択されるメカニズムの構築に寄与するのではないだろうか。

(※1)野尻哲史(2018)『定年後のお金』、講談社+α新書。

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