サマリー
◆2025年7月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲2.6%と3カ月連続で減少し、季節調整値は前月比▲0.2%と2カ月連続で減少した。輸入金額は前年比▲7.5%と2カ月ぶりに減少し、季節調整値は前月比+0.4%と4カ月ぶりに増加した。貿易収支は▲1,175億円と2カ月ぶりの赤字、季節調整値では▲3,029億円と5カ月連続の赤字となった。
◆2025年7月の輸出数量は前月比▲3.9%と2カ月ぶりに減少した。品目別では、米トランプ政権の高関税政策(トランプ関税)の影響が表れた自動車に加え、半導体関連財の減少が目立つ。シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復が一服したことに加え、米国による半導体への品目別関税に対する懸念から、欧州やアジアで設備投資を控える動きを反映した可能性がある。
◆先行きの輸出数量は弱含むだろう。トランプ関税に関する日米協議は合意に達した。関税を巡る先行きの不確実性が低下したことを受け、米国での販売価格の引き上げやサプライチェーンの見直しに動く企業が増えるとみられる。値上げで吸収しきれない追加関税のコストや、現地生産・調達拡大のための追加的なコストが発生することで、企業収益が下押しされることも免れないだろう。こうした状況が各国・地域で起これば、設備投資や個人消費の悪化を通じて日本の輸出の減少に繋がり得る。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2025年6月貿易統計
円高の進行やトランプ関税の影響で輸出金額は2カ月連続の減少
2025年07月17日
-
2025年5月貿易統計
輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少
2025年06月18日
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日