どこでも図書館
2018年05月15日
もしも図書館に行かずに本を借りることができ、また返す手間も省くことができたらどんなに楽だろうか。重たい本を持ち歩かずとも読みたい時に読めたら、目が疲れた時に文字を見ずとも本文を読み上げてもらえたらもっと快適だろう。そのように書くとまるで「のび太君」が「ドラえもん」に駄々をこねているようだが、実際にそれができる時代になっている。
数はまだ少ないものの電子図書館が公共サービスとして普及しつつある。自分のスマートフォンもしくはパソコンで図書館のサイトにアクセスするだけで、本を借りてその場で読むことができるのだ。返却はボタンを押すだけで、返し忘れても期限が来ると自動で返却される。
また、スマートフォンの機種にもよるが、本文は自動で読み上げまでしてくれる。たとえ、朝の通勤電車がスマートフォンすら取り出せないくらいすし詰めでも、イヤホンを耳にするだけで読書ができる。私自身も最近は本を読む機会が減っていたが、電子図書館を利用するようになってから、通勤電車で本を読むようになった。
日本ではまだ電子図書館のサービスは少なく、国内では60館程度しかない。また本の種類にも限りがあり、図書館によっては新しい本はあまり置いてないところもある。一方、米国では電子図書館が既に普及しており、全図書館における電子図書館の導入率は90%(※1)に上るとされる。いずれ日本も米国と同程度まで電子図書館が普及する可能性もあるだろう。もしかしたら図書館の貸出のほとんどが紙媒体ではなくなる日が来るのかもしれない。図書館で気になった本をぱらぱらとめくったりして偶然気に入る本が見つかるという機会が減るとしたら残念な気もするが、それだけ電子図書館に需要があるということだろう。大人になって本を読む機会が減った方はもう一度読書を始めるきっかけとして電子図書館を利用してみてはいかがだろうか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
- 執筆者紹介
-
経済調査部
研究員 中田 理惠
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
日本財政の論点 – PB赤字と政府債務対GDP比低下両立の持続性
インフレ状態への移行に伴う一時的な両立であり、その持続性は低い
2025年10月06日
-
世界に広がる政府債務拡大の潮流と経済への影響
大規模経済圏を中心に政府債務対GDP比は閾値の98%超で財政拡張効果は今後一段と低下へ
2025年10月06日
-
議決権行使における取締役兼務数基準の今後
ISSの意見募集結果:「投資家」は積極的だが、会社側には不満
2025年10月03日
-
2025年8月雇用統計
失業率は2.6%に上昇も、均して見れば依然低水準
2025年10月03日
-
米国の株主提案権-奇妙な利用と日本への示唆
2025年10月06日