採用面接の結果は「あなたの優秀さ」と関係があるのか
2018年03月19日
2019年の新卒予定者に向けた採用の広報活動が3月から解禁になり、就職・採用活動は本格化している。
企業にとっての採用活動は、各種広報活動により、優秀な候補者に応募されることに加えて、適性検査や面接などの選抜手法により、候補者の優秀さや適性を評価することを通じて、より良い人材を確保することと言えよう。選考に当たっては、他にもグループディスカッションや筆記試験など様々な選抜手法があるが、各手法での候補者の評価が将来(入社後)のパフォーマンスと結びついていなければ効果的な手法と言えないだろう。しかし、人事経済学や経営学の研究によると、最もポピュラーな手法の一つである「面接」での評価結果は、入社後のパフォーマンスを予測する上であまり役に立たないことが分かっている。
過去の研究をレビューしたRyan & Tippins (2004)によると、最も入社後のパフォーマンスとの相関関係が強かった選抜手法はワーク・サンプルと呼ばれる手法だった。これは、実際の業務に近い作業をさせ、その成果を評価することで候補者の優秀さを測定する手法である。シンクタンク(リサーチ)の職種であれば、候補者に何かテーマを与えて、実際に調査・研究を行ってもらう、ということが考えられる。一方で、質問内容の多くを面接者の裁量に任せる面接(人事経済学などの分野では「非構造化面接」と呼ばれる)で得られた評価は、入社後のパフォーマンスとの間の相関関係は弱い。ただし、自社の採用・評価基準を明確にした上で、面接官に裁量を持たせず、事前に取り決めた質問を全員に投げかける「構造化面接」は、入社後のパフォーマンスとの相関関係が一定程度あることが知られている。面接者の恣意性を排除できることや面接結果を採用担当者全員で比較できることが背景にあると考えられる。「非構造化面接」を採用における選抜手法の中心に据える企業にとっては、参考にすべき研究結果かもしれない。
就活生の立場からは、この研究成果をどう解釈できるだろうか。筆者が就職活動をしていた時分、不採用通知を受け取り、「自分は能力がないかもしれない」と落ち込んだ記憶がある。周囲にもそういった人は多かったように思う。しかし、「非構造化面接」の結果、不採用を通知されたとしても、その事実は「あなたの優秀さ」とはあまり関係がないということになる。もちろん、就職活動に当たって「面接で好印象を得るための能力」は求められるのかもしれない。しかし、「自分には能力がない」「この業界の仕事には向いていない」と過度に自信をなくす必要はないだろう。
参考文献
●Ryan, A. M., & Tippins, N. T. (2004). Attracting and selecting: What psychological research tells us. Human Resource Management, 43(4), pp.305-318.
●大湾秀雄(2017)『日本の人事を科学する』, 日本経済新聞出版社
●服部泰宏(2016)『採用学』, 新潮選書
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- 執筆者紹介
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金融調査部
主任研究員 森 駿介
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