人々はバブルを待望しているのか
2018年01月12日
大発会から3営業日で日経平均株価が1,000円を超す上昇を見せるなど、今年の株式市場は好調なスタートを切った。こうなると市場関係者の目線は上がるもので、「日経平均3万円」という声も耳に入るようになってきた。つまり、80年代末期から90年代初めにかけてのバブル絶頂期の水準が視野に入ってきたことになる。
それにしてもここ最近、「バブル」という言葉を聞く機会がとても増えてきたような気がする。株式や不動産、あるいは「仮想通貨」といった資産の価格上昇が目立っているからだろう。仮想通貨はともかく、株価や不動産価格に関しては、バリュエーションからみて、かつてのバブル期に見られたような極度の割高感は感じられない。しかし、景気拡大の実感がそれほど強くない中で、資産価格の上昇ばかりが目につくことが、「実態とのかい離」を感じさせているのだろう。
昨年は、バブルをネタにした芸人がブレイクし、また当時を彷彿とさせる衣装で高校生が踊ったダンスが話題を呼ぶなど、世間でも「バブル」への関心が高まっているような印象だ。果たして、人々はバブルの再来を待ち望んでいるのだろうか?
80年代バブルの最盛期に社会人になった筆者にとり、その頃の浮かれた思い出もなくはないが、バブルと聞くと、むしろ、その後の苦しい記憶が先に来てしまう。経済全体にとっても、「行け行けドンドン」と投資・消費が膨らんだ経済成長よりも、その後のデフレスパイラルのインパクトが上回ったのは否定できない事実だろう。
人々がバブルを懐かしむ気持ちになるのは、一つには、家計の平均的な可処分所得が増えない中で、資産価格上昇を一部の人だけが享受しているのでは、という格差の裏返しなのかもしれない。また、リーマン・ショックから10年が経過しようとしている中で、バブル崩壊時に感じた苦しい思い出が薄れてきた面もあろう。
バブルと危機が繰り返される中で、企業や家計は保守化傾向を強め、そのために格差も拡大してきた。もし、バブル願望が企業や家計の積極的行動を呼び起こすきっかけになるのなら、と思う気持ちもあるが、それは結局のところ刹那的であり持続性が期待できない。日本企業に求められるのは持続的な投資や賃上げであるし、家計に必要なのは教育や老後の資金を確保するために、こつこつ積み上げる投資だ。今年始まった「つみたてNISA」の効用を実感させるのも、一時的なバブルではなく、持続的な株価上昇に他ならない。
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