今年、株式時価総額が2倍以上になった銘柄数は?
2017年11月21日
11月9日のザラ場で日経平均株価は23,382円をつけ、取引時間中に23,000円を上回った。これは1992年1月以来のことだ。ここ数日は調整してはいるものの、昨年末以降、株価は大幅に上昇している。私の身近では、今年になって株式の投資信託を買い始めた人や株式投資を再開した人がいる。そのうちの一人である美容関連で働く知り合いに聞くと、企業収益が先行きも増えるとの見通しを持っていることに加え、足元の株価上昇という理由を挙げてくれた。勢いよく上昇する株価を見て、投資を再開せずにはいられなかったようだ。
では、株式市場が活況を呈している中で、どのような企業群の株価が上昇しているのか。全上場企業の時価総額を、2013年から2017年まで1年ごとで区切って集計し、前年末と当該年末(ただし2017年は10月末)で時価総額がどのくらい増加したかを見てみた(データの出所はThomson Reuters)。
2013年には562銘柄の時価総額が前年末と比べて2倍以上になった。562銘柄とは、集計対象の実に15%に相当する。2014~2016年で2倍以上になったのは110~150銘柄程度だったが、2017年には再び増加し286銘柄になっている。驚くべきことに、2017年10月末に2016年末と比べて3倍以上になった銘柄が57あり、最高では10倍になった銘柄も存在する。
昨年末と比べて今年すでに時価総額が2倍以上になった銘柄の特徴を見ると、昨年末の時価総額が100億円以下という比較的小さな銘柄が193あり、2倍以上になった銘柄数の3分の2を占める。時価総額がある程度大きくなった銘柄よりも、小さな方が時価総額が増加しやすい傾向にあるといえる。時価総額20兆円の会社が1年で2倍、3倍に成長するのは難しい一方で、価値が100億円の成長力のある会社であれば企業価値を倍増させやすいということは感覚的にも納得できるだろう。
時価総額が2倍になった銘柄を業種分類で見ると、電子部品が27銘柄と最も多く、次いで産業機械設備が20銘柄であった。時価総額が倍増した銘柄数が非常に多かった2013年には、電子部品でそれに該当したのは17銘柄にとどまっていたことから、今年の電子部品銘柄は幅広く時価総額が増加したといってよい(2013年の産業機械設備で倍増したのは26銘柄)。十分な精査はできていないが、電子部品は自動車の電装化、IoTに関わる電子部品への強い需要が影響したようだ。
さて、年末までに時価総額倍増銘柄はいくつまで増えるだろうか。そして来年は、今年と同じように時価総額が2倍以上になる銘柄が多く生まれるだろうか。来年も株式市場の活況を期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

- 執筆者紹介
-
政策調査部
主任研究員 神尾 篤史
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日

