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ハイ・イールド債市場では金融とエネルギーセクターに留意

2017年08月07日

政策調査部 主任研究員 神尾 篤史

最近、アルゼンチンの100年国債やギリシャの5年国債の発行があり、両案件共に投資家の応募が募集設定額を上回ったとされる(※1)。アルゼンチンは直近100年で6回の債務不履行を起こしたとされ、ギリシャは2015年に事実上の債務不履行に陥ったことは記憶に新しく、両案件共に信用力に不安がある。それでも、需要が旺盛なのは世界的な低金利に悩む投資家が運用難にある中、これらの債券の利回りが相対的に魅力的な水準にあることが要因である。リーマン・ショック後、各国の中央銀行が金融緩和を行った結果、マネーが市場に潤沢に供給され、投資家は少しでも高い利回りを求めて、投資先を探している状況にある。

このような状況において、特に注目したいのはハイ・イールド社債である。ハイ・イールド社債の米国債に対するスプレッド(利回り差)は縮小傾向にあり、歴史的にも低い水準にある。それだけマネーが利回りを求めてハイ・イールド社債の市場に流れ込んでいることを示唆している。

だが、この環境が継続するとは考えづらく、何かをきっかけに状況が反転する危険性があることには留意しておきたい。当然に考えられることの1つは、中央銀行が行ってきた金融政策が緩和から縮小に転じることが挙げられる。周知の通り、FRBは利上げをすでに開始し、最近では大規模な量的緩和によって拡大したバランスシートを縮小させる方針を打ち出している。ECBは近いうちに量的緩和の縮小に入ると市場で予想されている。

もう1つきっかけとなる可能性を挙げると、ハイ・イールド社債の発行体の信用力の悪化がある。ドル建てのハイ・イールド社債の発行残高を業種別に見ると、金融(銀行・保険)・不動産セクターが39%、次いでエネルギーセクターが12%である(出所:Bloomberg)。

金融セクターについて企業の国籍別(※2)に見ると、米国が圧倒的に大きく、次いで中国である。ただし、金融セクターの中の詳細な内訳で見ると、米国と中国では違いがある。米国では投資銀行・資産運用業などの残高が大きい一方で、中国では商業銀行の残高が大きい。エネルギーセクターについて同様に発行体を見ると、米国の企業が圧倒的に大きく、次いでブラジルの企業になっている。

金融、エネルギーセクターはハイ・イールド社債の発行残高に対する割合が高い。述べたようなことを原因に変調をきたすと社債市場全体に波及する可能性があるため、留意していく必要があろう。

(※1)アルゼンチンの100年国債は発行額が27.5億ドル、表面利率が7.125%、ギリシャの5年国債は発行額が30億ユーロ、表面利率が4.375%。
(※2)ハイ・イールド債を発行する企業の最終親会社が法人登録を行っている国。

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神尾 篤史

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