農業は都市型産業の時代か?
2017年03月30日
地方創生の取り組みが本格化する中、農業は地方部における成長産業として期待されている。一方で、伝統野菜の復活、新たな野菜の導入、顔の見える農業など都市圏における農業の活発な取り組みを耳にすることも多い。そこで、都市圏の農業の可能性を考えるために、全国の農業の現状を見てみよう。

図表1は近年の都道府県別の農業総産出額の増減動向をみたものである。具体的には、2011~2015年の平均産出額の2006~2010年の平均産出額に対する増減率を示している。図表1から首都圏である神奈川県や東京都が5%以上の伸びを示し上位にランキングされている。また、千葉県や首都圏に隣接する群馬県、茨城県、栃木県も産出額を増加させている。関東圏以外でも都市部および隣接地域の増減率がプラスとなっており、全体的に都市圏での産出額の増加が目立つ。
ところで、農業産出額に占める野菜の割合が高い地域を見たのが図表2であるが、首都圏をはじめとした都市部および隣接地域が多く含まれており、野菜は都市型農業の側面を有している。以上から、野菜を中心とした都市圏の農業が近年成長していると考えられる。

そこで、都市型農業の環境を考えると、以下のような追い風が吹いている。
①都市圏における人口の集中や安全/安心/新鮮/健康志向の高まり
②植物工場やIT化の進展により省スペースの農業が可能になりつつある
③都市部でも土地が余り始めている
④都市圏ほど多くの食関連産業が集積しており付加価値化が進めやすい
食の多様化が進む中、多品種少量生産の野菜も増えており、野菜の生産比率が高い都市圏においては、農業も成長産業として大いに期待できるのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
- 執筆者紹介
-
マネジメントコンサルティング部
主任コンサルタント 岩田 豊一郎
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
中国:消費低迷の深層・非正規雇用の急増
所得格差縮小は非持続的か。社会保障不安とリスキリングの難しさ
2026年08月10日
-
米雇用者数は減少、過去分も大幅に下方修正
2026年7月米雇用統計:失業率は低下も、労働参加率の低下に懸念
2026年08月10日
-
2026年4-6月期GDP(1次速報)予測(改訂版)~前期比年率+2.5%に下方修正
直近公表の基礎統計を踏まえ、個人消費と外需をそれぞれ下方修正
2026年08月10日
-
島の泡、市場(マーケット)へ
— 投資ファンドで武者修行した老舗会社の未来 —
2026年08月12日

