統計虚偽問題に揺れる遼寧省、2016年の経済成長率は実質▲2.5%、名目▲23.1%!?
2017年03月02日
中国遼寧省の経済統計がわけの分からないことになっている。
陳求発・遼寧省長は2017年1月17日に開かれた省人民代表大会において、2011年~2014年の同省の財政収入が水増しされていたことを認めた。報道によれば、水増し分は20%程度とされる。地方政府が公にデータが虚偽であったことを認めるのは異例であり、1月20日の全国のGDP統計発表の際の記者会見でも、この問題が取り上げられた。寧吉喆・国家統計局長は「遼寧省は既にこの問題に回答しており、主な問題は財政収入のデータが正しくなかったということである」などとコメントしたが、財政収入のデータだけが虚偽というのはあり得ない。水増しされた財政収入を基に、いかにして財政支出を行ったのか?影響は多岐にわたるはずであり、遼寧省の固定資産投資は2015年に前年比27.5%減少し、さらに2016年には同63.5%の急減を記録した。無い袖は振れない状況であったことは想像に難くない。
2016年の遼寧省の経済成長率の発表は遅れていたが、2月21日の報道では、実質経済成長率は前年比▲2.5%とされた。2016年の中国の実質GDP成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%からは若干の低下にとどまるなど、全体として景気減速ペースが緩やかになる中で、遼寧省の成長率は唯一、マイナス成長に落ち込んだのである。
ところが、2016年の遼寧省の名目GRP(Gross Regional Product)は2兆2,037.9億元(約37兆円)と、2015年の2兆8,669.0億元からは実に▲23.1%になったとされた。2016年の遼寧省の消費者物価上昇率は1.6%とされており、データの整合性は全く取れない。名目のみ、過去の虚偽分を修正したのであろうか?少なくとも、きちんとした説明がなければ、統計の信頼性は完全に失われる。
中国では、これまでも地方政府によるGDP水増し疑惑や、不良債権の過小評価懸念(認定基準の甘さ)など、統計の正確性・信頼性には様々な疑問が呈されてきた。1月20日の国家統計局長の記者会見(この時点では遼寧省の成長率は未発表)では、全国の経済統計の信頼性に関する質問も出され、寧局長は「全国レベルの統計は正確で信頼できる」と答えた。しかし、企業など末端レベルから地方政府に至るまでの統計の正確性・信頼性が確保できないのに、全国の統計は信頼できるというのは無理な話である。今回の遼寧省の虚偽統計事案の徹底的な検証と結果の共有、そして末端を含む様々なレベルでの再発防止を手始めに、統計の正確性と情報開示の透明性を向上させなければ、同じことが繰り返されることになる。「中国経済の実態はよく分からない」と思われることは、中国経済を巡る極端な悲観論が台頭する背景の一つになっていることを中国政府は認識しなければならない。問題は極めて重大なのである。
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調査本部
主席研究員 齋藤 尚登
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