先の読めない時代のリスクテイクは愚かか?
2017年01月19日
年初からトランプ次期大統領の言動に、世界は翻弄されている。その中で、さまざまな企業が米国内での新規投資や新規雇用を表明するなど、就任前から影響力が発揮されている。もっとも、企業にとって、米国事業への注力は必ずしもリスクの高い行動ではない。世界経済を当面牽引すると見込まれる米国市場において、プレゼンスを拡大させたいという企業が増えるのは、むしろ自然だ。
しかし、世界全体でみれば、今後、企業の投資が増えるとは想定しづらいところである。昨年はBrexit(英国のEU離脱)の決定や、米大統領選でのトランプ氏勝利と、立て続けに予想に反した結果が生じており、「先の読めない時代」に入ったとの印象が強まっている。今年も、フランスの大統領選やオランダ、ドイツの議会選挙と、結果の読めないイベントが続く。中国など新興国経済も不透明要因を抱えており、このような中でリスクを取った投資に対して逡巡する企業が増えてもおかしくはない。
しかし、リスクを取らなければ、成長はない。企業が不透明な時代を乗り越えるために必要なこととして、「柔軟性」や「スピーディーな意思決定」などが挙げられるだろう。リスクテイクをするには、変わり身の早さも必要な能力になってくる。
同じようなことは、個人の証券投資においても言える。昨年はBrexitも米大統領選も、株式市場では直後に大幅な乱高下が生じた。結果的には年末に向けて上昇基調となったものの、事前には予想のつかない動きが続いている。このような不透明な中で成果を狙うには、「タイミングを捉えたスピーディーな投資判断」が欠かせないかもしれない。しかし、タイミングを見極めるのは容易ではなく、投資に不慣れな人には難しい。
では、不慣れな人はリスクを取るべきではないのか。このマイナス金利時代、リスク資産投資を避けていたら、将来の老後資金確保はおぼつかない。そこで必要になる知識は「タイミング」の見極め方よりも、適度なリスクを取る方法論ではないのか。
ここもと、いわゆる「積立投資」にフォーカスが当てられている。今年から個人型確定拠出年金(iDeCo)の対象者が拡大したほか、来年からは「積立NISA」の制度が導入されることになっている。いずれも、「時間分散」の効果により投資タイミングを見極める必要性が薄れる制度である。先の読めない時代に入ったからこそ、このような「分散投資」によるリスク低減が活きてくるような気がする。
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