電力小売、全面自由化元年を振り返る
2016年12月28日
2016年4月、一般家庭も含めた電力小売の全面自由化が始まった。振り返れば2000年3月に部分自由化がスタートし、電力小売市場に小さな風穴が開けられた。その後、2004年、2005年と、大口需要家から順に市場が開放されてきたものの、2007年に全面自由化が見送られた経緯(※1)がある。この度、東日本大震災後の計画停電やアベノミクス成長戦略の後押しを受け、10年越しの実現となった。
現在進行中の電力システム改革(※2)は、全面自由化による新たな市場の開放だけでなく、市場の活性化に向け、競争環境の整備が進められていることも期待される点である。2016年8月までの市場の様子をみると、既存の自由化分野(特高・高圧分野)についても、新電力のシェアが8.27%(2016年4月)から11.26%(同8月)まで拡大している(図1)。
新たに開放された低圧分野についてみると、新電力(※3)のシェアはまだ2.11%に留まる。しかし、その顔ぶれを見ると既存市場には見かけないプレイヤーが登場している点が興味深い。東京ガスやサイサンなどのエネルギー小売系、KDDIやJ:COMなどの通信系など、BtoCの顧客基盤を持つ異業種からの参入が多い(図2)。各社のサービスを見ると、セット割プラン、ポイントバックなどのほか、電力使用状況の見える化、生活まわりサービスなどが展開されている。その先には、エネルギー供給事業の総合化や、IoTの活用による需要制御サービス、生活サービスとの融合など、様々な可能性が見えてこよう。かつて、ガス会社は「電気機器の提案はちょっと…」、電力会社は「省エネの提案はあまり…」という本音があったが、業界の壁が取り除かれることで、より顧客目線でのエネルギーの最適利用、効率化が推進されることに期待したい。
電力システム改革の目的は、電気料金の最大限の抑制を図るほか、他業種・他地域からの参入や新技術の活用によるイノベーションの誘発にある(※4)。始まったばかりの全面自由化、「家庭」という切り口が生まれたことによる参入事業者の多様化と、進化するサービスに注目していきたい。


(※1)総合資源エネルギー調査会「今後の望ましい電気事業制度の在り方について」(平成20年3月)
(※2)第1弾「広域系統運用の拡大」(2015年)、第2弾「小売参入の全面自由化」(2016年)、第3弾「送配電部門の法的分離、小売料金規制の撤廃」(2020年)と段階的に進められている。
(※3)「みなし小売電気事業者」(既存の大手電力会社)以外の小売電気事業者のこと。自由化以降の新規参入事業者のこと。
(※4)「電力システムに関する改革方針」(平成25年4月2日閣議決定)
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- 執筆者紹介
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マネジメントコンサルティング部
主任コンサルタント 平田 裕子
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