継続就業に立ちはだかる第1子出産の壁
2016年11月07日
女性にとって結婚と出産は、就業を継続するか否かを考える重要なライフイベントとなることが多いのが現実である。これまでの様々な調査で、これらのイベントが女性の就業継続を阻み、「壁」として立ちはだかってきたことが明らかになっている。
もっとも、結婚の「壁」は徐々に低くなってきている。例えば、本年9月に発表された国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査によれば、結婚前に就業していた妻に占める結婚後に就業を継続していた妻の割合を見ると、1985~89年時点には60.3%だったが、徐々に上昇し、2010~14年時点では81.0%となっている(図表)。もはや「寿退社」という言葉は死語と言ってよいだろう。
他方、依然として出産の「壁」は高いままである。出生動向基本調査によると、1985~89年時点で39.2%だった妊娠時に就業していた妻に占める出産後に就業していた妻の割合は、2010~14年時点でも53.1%にとどまっている。長期にわたって4割程度だった状態が直近の調査で大きな動きをみせた点は注目すべきだが、その絶対的な水準は低いままと言わざるを得ない。同調査では第2子、第3子の出産後の就業継続割合も調査されているが、第2子や第3子の場合は、長期にわたって8割前後の就業継続率となっている。
つまり、同調査の結果から考えれば、就業継続を阻む最も高い壁は、第1子出産の壁であり、それを乗り越えれば子供が増えても就業継続できているケースが多いということである。だとすれば、第1子出産前後の時期に就業継続に関する支援を集中的に行い、育児と仕事を両立できる働きやすい環境を整備していくことが求められる施策と言えよう。
また、国や企業のサポートはもちろんのこと、身近な存在として夫の支えが何よりも重要である。実際、夫の家事・育児の時間が長ければ長いほど出産後の妻の就業継続の割合が高いというデータがあり、就業継続の壁を崩すカギは夫が協力していくという姿勢を示し、行動することだと思われる。
筆者も結婚生活を送る中で、互いが公平であり、互いに協力し合うことの重要性を実感している。しかし、「言うは易く行うは難し」。果たして理想的な協力を実行できているか自問すれば心許ない。有言実行を改めて誓う次第である。

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- 執筆者紹介
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政策調査部
主席研究員 神尾 篤史
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