2016年05月26日
2016年5月15日(日)~17日(火)の三日間にわたり、米国の外交問題評議会(CFR)が主催する「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」の第5回の年次総会(※1)が、ニューヨークで開催され、参加者として出席する機会を得た。CoCとは、世界主要25カ国(※2)のトップクラスのシンクタンクの代表が参加している国際シンクタンクネットワークである。G20の構成とほぼ同様であり、「シンクタンク版G20」と呼ばれている。
毎回、様々な分野のグローバル課題が取り扱われており、今回の年次総会では、「シリア問題」「難民と移民」「アジア安全保障」「グローバル経済ガバナンス」「インターネットガバナンス」の5つのテーマが取り上げられ、活発に議論された。
会議に出席して感じたことは、各参加者ともすべてのテーマがグローバル化している政治課題であるため、各国が協調して取り組むべきであることは認識しているものの、主要各国の政治的ポピュリズムの台頭によって、政府が「内向き」になっていることを問題視していた。
そこには何が必要か。確かに、具体的な方策として、各テーマの議論においても提案された各課題に対するグローバルな規範(norm)と規制(regulation)が必要ではある。ただし、それ以上に、このような規範と規制を生み出す前提となる正確な歴史的経緯を含めた様々な課題の正しい理解・考え方に基づく政府間の対話と、それに加えてそのような対話のベースとなる各国における政府と国民の冷静かつ客観的な対話が必要ではないかと考えられる。単なる政治的なポピュリズムに陥らないためには、正しい理解・考え方に基づく地道な政府と国民の対話が必要不可欠であろう。ちなみに今回の年次総会においても、議論された上記5つのテーマの正しい理解・考え方に基づくアジェンダの設定および議論が、自分自身も含めて如何に重要か痛感した。
少し突拍子もない考え方かもしれないが、この地道な対話には中立的な立場にある「シンクタンク版G20」がグローバルに協調することで、客観的な意見を各国で発信する重要な役割を果たせるのではないかと思いをめぐらせた。それでこそ、シンクタンクがシンクタンクと呼ばれる真髄ではないか。
(※1)The Council of Councils Fifth Annual Conference: New York
(※2)25ヵ国とは、北米からはアメリカ、カナダ、中南米からはメキシコ、ブラジル、アルゼンチン、欧州・ロシアからはイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、ポーランド、トルコ、ロシア、中東からはサウジアラビア、イスラエル、アフリカからは南アフリカ、エジプト、ナイジェリア、アジア・太平洋からは日本、中国、韓国、シンガポール、インドネシア、インド、オーストラリア。G20はベルギー、ポーランド、イスラエル、エジプト、ナイジェリア、シンガポールの6カ国を含まないが、欧州連合(EU)を含む。
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