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インド・ハリヤナ州で起きた暴動の余波を旅行中に受けた話

2016年05月23日

新田 尭之

今年の2月下旬に1週間ほどインドを旅行した。大半の日本人旅行者と同じく、毎日がトラブル続きだったものの、基本的には大きなトラブルに巻き込まれなかった。しかし、帰国を翌日に控えた同月23日は例外であった。

その日の22時過ぎ頃、宿泊先のホテルから出発し、ジャイプル発ニューデリー行の夜行列車に乗車するために駅まで軽快な足取りで歩いていた。日本を含めて夜行列車に乗車した経験がなかったこともあり、初の夜行列車に乗るというイベントを控えて気分が高揚していた。ところが駅前にある電光掲示板を15分ほど見続けても、自分が乗る予定である列車の情報が表示されない。そこで、駅のホームに移動し、そこに設置されていた電光掲示板をしばらく見続けたところ、乗車する予定の列車情報は遂に見つかった。一瞬ホッとしたもの束の間、内容をよく見てみると、到着時間のステータスの部分には“CANCELED”の文字だけが表示されていた。本来ならばここでパニックに陥ったかもしれないが、その時は意外にも冷静さを保つことができた。やっとのことで列車情報を探し当てたという強い達成感により、列車がキャンセルされたショックが幾分和らいだのかもしれない。

その後、駅のホーム付近で聞き込みをしたところ、ジャイプル発ニューデリー行きの鉄道やバスは途中に位置するハリヤナ州で起きた暴動の影響でここ数日間運行していないとの情報を得た。そのうち数人はバスが焼き討ちを受けた写真が掲載されているオンライン新聞の記事(※1)を見せながら、ニューデリーに行くのは危険だからやめた方がいいと忠告してくれた。しかし、早めに移動しなければ翌日の帰国便に乗りそびれかねない。そこで、費用は嵩んだが乗用車をチャーターし、高速道路で移動するという手段を選択した。高速道路の利用を避けていた人が多かったこともあり、ニューデリーまでの道中はバスや自動車の姿はまばらであった。こうした状況のため、当初は6時間程度掛かると見込まれていたニューデリーまでの道のりを4時間程度で走破でき、帰国便にも無事間に合った。

帰国後に調べたところ、この度のハリヤナ州での暴動は、ジャートと呼ばれる上位カーストの人々が引き起こしたものであり、その要求は大学入試や公務員採用において下位カーストが持つ優遇枠を自分たちにも適用することであるという。しかも政府は最終的にこの要求を受け入れ、ジャートを優遇対象に加えてしまった。したがって、今後も政府が特定のカーストに的を絞ったアファーマティブ・アクションを打ち続ける限り、その他のカーストが優遇枠を求めてデモや暴動を引き起こすリスクはいつまでも燻るのではなかろうか。個人的にもインドを再訪する際は現地のSIMカードを即座に入手し、常に治安や輸送インフラに関わる情報を毎日収集しつつ、旅程には十分すぎると思うほど余裕を持たなければならないと肝に銘じた次第である。

(※1)恐らくこの記事だと思われる。The Hans India “Caste-Related Riot Leave 12 Dead and Thousand Injured in Haryana”(2016年2月22日付)

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